常に監視される我々 – 無意識に与える個人情報とその罠

常に監視される我々 – 無意識に与える個人情報とその罠

個人情報保護について考えるとき、多くの人は自分を特定する基本的な情報―氏名、住所、年齢、生年月日―が他者に漏れないような法律を想像するでしょう。しかし、現実はもっと複雑で、もっと驚くべき事実があるのです。

本当の個人情報は、氏名や年齢をはるかに超えています。それは、昨日何を食べたか、好みは何か、趣味は何か、どこに行き、誰と交流し、恋人がいるかどうか等、あなたの生活の全てを含んでいます。そして、驚くべきことに、現代のクラウド化した社会では、これらの情報はほぼ全て記録されているのです。

例えば、Googleは自分の一週間の移動距離と場所を記録しています。その情報は、法的には、国家の力(例えば警察による捜査協力)で利用することが可能なのです。

香港のデモの際に参加者たちが地下鉄の切符を現金で購入したのは、このような理由からです。デジタル決済ではなく現金を使用することで、彼らの移動履歴を記録することを避けたのです。

我々の日常生活は常に監視されています。スマートフォンは個人情報の宝庫であり、その人のアイデンティティと言っても過言ではありません。

日本で個人情報保護法が初めて施行されてからすでに15年が経ち、その10年後にマイナンバー制度の運用が始まりました。この制度は各種手続きを簡素化するというメリットを提供しますが、国家が真に考えているのはより効率的な税金徴収です。

実は、このような個人情報の記録は国家の成り立ちと深く関わっています。戸籍制度が生まれた背景には、国が年貢を適切に徴収できるかを管理するためという目的がありました。そして、マイナンバー制度も同じく税務分野での利用が主な目的でした。

しかし、税金を納めることで安心するべきではありません。税金を納めるという行為自体が、国にお金の流れを把握されることを意味します。それにより、あなたの行動、状況、思考パターンまでが透明化され、全てが読み取られてしまいます。

近代史を振り返れば、真実を追求する際には常にお金の流れが追跡されてきました。人間は嘘をつくことがありますが、お金の流れは決して嘘をつかないからです。大規模な犯罪の捜査も、資金がどこから流れているかを追跡することで進められます。つまり、お金の流れを把握すれば、ほぼ全てがわかってしまうのです。

我々はプライバシーが保護されていると思い込んでいますが、その考えは中途半端な知識に基づいたもので、真実からはほど遠いのです。それは個人情報保護という本質を理解していないからです。

個人情報保護とは、自分を特定する情報の流出を防ぐだけでなく、私たちの日常生活の全てを守るためのものであり、また、お金の流れを含む私たちの全てを守るためのものなのです。個人情報保護の重要性を理解し、適切な行動をとることで、真のプライバシーを保護することが可能となります。