ゲシュタルト崩壊

NO IMAGE

最近、iTunesのオーディオブックにはまっており、色々と聞いているのですが、中でも落語と茂木先生の話は面白いです。

中でも、先日購入した茂木先生の「脳と人間」は、特に良かったです。

その中で出てきた話ですが、「ゲシュタルト崩壊」というものがあるそうです。Wikipediaにも載ってはいますが、なんだか難しい話で、いまいち良くわかりません。(Wikipedia:ゲシュタルト崩壊

茂木先生の話によると、ゲシュタルト崩壊とは、同じ字を長時間書き続けていると、なんだか良くわからなくなってくる事という事でした。

例えば、キャンパスノートに延々と「あ」と書き続けていくと、「あ」の横棒が変に見えたり、縦棒が微妙に曲がっている事を気にしたり、丸みの部分が気になってきたりする事らしいです。

そんな事を思わないという人は、一度、思うまで「あ」を書き続けてみてください。キャンパスノートいっぱいに「あ」を3ページも書き続ければ、そんな事を思い始めます。

同じ事を繰り返していると、人間の能では認識が崩壊していくらしいのです。

生命の本質は逸脱する事だと茂木先生は言っていましたが、生命の本質というより、それが進化なのだと思いました。生命の本質こそが進化なのかもしれませんが、そうすると「進化は突然やってくるもの」と言えます。という事は、緩やかな進化というものは現実としてあり得ないのではないでしょうか。

ゲシュタルト崩壊に関する話では、アインシュタインとニュートンが例に出されていました。どちらも歴史的な大発見をした人物ですが、その2人に共通しているのは、ゲシュタルト崩壊だったというのです。

ニュートンについては、古い人物なので、資料は残っているないそうですが、アインシュタインについては、しっかりと資料が残っています。茂木先生の話では、アインシュタインが相対性理論を思いついたのは15歳ぐらいだったという事でした。しっかりとした理論がひらめいたわけではなく、15歳の頃に「光と同じ早さで走ったらどうなるんだろうか?」という疑問を持った事がきっかけで、その疑問を考え続けた結果、生まれたのが相対性理論だったというわけです。

そういえば、そんな話は別の所でもあったと思い出しました。

それは、「ベンゼン」という物質の構造式です。ベンゼンが発見されたとき、その分子構造を表す構造式について多くの科学者が研究をしました。その中で、ドイツの化学者フリードリヒ・ケクレが「蛇(ウロボロス)が自分の尻尾を噛んでぐるぐる回っていた」という夢を見た事がきっかけで「ベンゼンの環状構造式(ケクレ構造式)」が生まれました。

ちなみに、健康には有害で発がん性があるとされる物質です。

このベンゼンの話もゲシュタルト崩壊の結果なのですが、科学分野の領域だけでこの事が起こっているわけではないと思います。

ゲシュタルト崩壊を引き起こす為の要因は、高い集中力と恒常性です。

一つの物事に対して、集中し、続ける事によってゲシュタルト崩壊が引き起こされるのです。これは、いわゆる「ひらめき」です。

インスピレーション(ひらめき)が得たい場合は、集中して考え続ける事で起こります。これは、自分から何かを発信するような仕事をしている人に共通して言える事だと思いますが。作家や画家、クリエーターと言われる人たちは、「おりてくる」などとよく言いますが、それが「おりてこない」時は、おりてくるまであがき続けるしかないと言います。

まさに、自分からゲシュタルト崩壊を引き起こしているわけです。

なかなか、いいアイディアやひらめきが生まれない場合は、集中力が足りないか、途中で投げ出してしまっている場合のどちらかですから、足掻くしかないんです。

ただ、実際の所、ゲシュタルト崩壊の発生要因は未解明のようですが、集中力と持続時間によって発生するという仮説を証明してほしいものです。