No Needs, No Sales
営業という仕事は、断られるのが一つの仕事のようなものだと誰かが言っていましたが、まさに、その通りだと思います。
何回断られたのか?それが重要です。たいてい100件ぐらい断れれると開き直ってしまうものですが・・・。逆に、開き直るぐらいじゃないとこの仕事は続きませんが。
ただ単に、「断られた」ということだけに注目してしまうと、実は何にもなりません。なぜ断られたのかをすべて考えていくと、お客さんが本当に必要としているものが何なのかというところが次第に見えていきます。
私が、前の会社にいたときに新人にまずやらせたのは、電話帳のリストと電話のかけ方のマニュアルをわたし、ひたすら電話をかけさせることでした。それをだいたい1か月ぐらいやらせます。そうすることによって、電話に対する恐怖心をなくすばかりか、アポイントの取り方を体に覚えさせることができます。
ちなみに、電話営業で重要なのは、電話でクロージングするのではなく、アポイントを取ることのみに焦点を絞ることです。
また、今の会社に入社してはじめに行ったのは、企業リストの制作でした。そして、入社2日目からは、そのリストを持って飛び込みに行きました。
誰かにそれをしろと言われたわけではなく、自分から考え行動したのです。なぜなら、そうすることが最も最良の手段だと思ったからです。
飛び込みを行った理由は2つ。
- 移動にかかる時間(距離感)をつかむため
- どんなニーズがあるのか?
東京と違い、移動はすべて車になります。とすると、電車で移動する感覚では時間に間に合わない可能性もあります。特にアポイントを取って動くとなった場合に、時間感覚がないとうまくスケジュールも組めません。ですから、次の行動計画を策定する上で移動にかかる時間を測定しておく必要がありました。
次に、どんなところにニーズがあるのか?という部分です。それは、言って聞いてきたほうが早いです。こちらで思っていても、実際はそうでないということは多々あります。そうした思いこみを持つことも時には必要だと思いますが、それだけで行動していては、具体的な成果は上がりません。
そして、結果はどうだったか?
- 効率的に動けるスケジュールが組めるようになった
- 新商品を開発した
これによって、ようやく売上らしいものが見えてきました。
…とここまでだと、ふつうのサクセスストーリーで終わってしまいますが、実はここからが今日の本題です。
飛び込み営業と電話営業を2人で手分けして行っていましたが、それはそれは、実績の上がらないつらい日々でした。非効率ですし、断られることだって決して気持ちのいいものではありませんし。
このときはとにかく数をまわることだけに集中し、どんな小さな個人商店でも決裁権者と会えそうなところはだいたい回っています。かなりの数あたっていると、そのうち2,3件は運よく受注できたりもするのですが、それはラッキーだったと思うべきです。
断られるのに慣れてきたころに、断られ方にも何種類かあるということに気がつくようになります。それを分類していくと、以下のような形になります。
- 話を聞くだけの時間(余裕)がない
- 人見知りであまり人と話したがらない
- まったく興味がない
ざっくりと分類すると、こんな感じです。
1と2は実はかなり見込みがありますが、3は見込みがありません。そこに対して時間を使ってはいけないのです。これこそが、No Needs, No Salesの原則です。 「需要のないところに販売なし」というのがこの発想です。
「晴れた日に、傘を買ってくれと言ってもだれも買わないが、雨の日に傘を買ってくれと言えば、瞬く間に売り切れてしまう」
こういうと、もっとわかりやすいですが、意外とこれが見えていない人が多いのです。押し売りになってしまっていませんか?
ついでに1と2についても解説します。もともと、飛び込みで行っているわけですから、忙しいのは想定内です。しかし、「今日は時間がないから」と言われたらしめたものです。
「突然おじゃまして、申し訳ございません。また日を改めますので、いつ頃ですとご都合がよいでしょうか?」
と聞けるのです。そこで、もう来なくていいよ。と言われれば、もう行かないだけですし、アポイントが取れれば、かなり受注に大きく近づきます。
2つ目については、たいてい初めて会う人に対する対応というのは、そんなものです。しかも、飛び込みなわけですから、普段から訓練していない人ですと、まずは対応に困ります。接客業のお店は、飛び込みの人に対しても基本的にいい対応をしてくれます。なぜなら、飛び込みで来た人であろうと、そのお店にとってのお客様になる可能性はかなり高いわけですから。(しかもそれを理解しているお店は、繁盛しているんです…当たり前ですが)
営業でまずやるべきことは、ニーズの把握です。
そもそもニーズのないところに一生懸命セールスを行っている人が大勢いる、という事実に気づいている人は少ないです。
何をどこに売るのか?というのは、あまり重要ではなく、ニーズがあるのかどうかが最も重要です。
ニーズある所にセールスがあり、セールは市場を生みます。
意外と発想として多いのは、誰にどんな商品を売るのか?ということです。しかし、それもニーズがあることが大前提なわけです。しかし、その前提が不確かなままにマーケティングや商品開発を進めてしまうと、まったく売れないわけです。だって、そもそもそこにニーズはなかったんですから。
ニーズの見えないままに進めていったとしても、後で必ずニーズの洗い出しをしなければなりません。そんなことだったらははじめから行っていたほうが、効率的なのです。
それに、後から…あとから…と思って先延ばししてしまうと、結局後になってもやることはありません。原因としては時間的な問題と、気持ち的(モチベーション)な問題です。
はじめのうちは時間もありますし、仕事に対するモチベーションも高いですが、それらは仕事を続けていくうちにどんどん削られていくのです。そうならないうちにも先にやっておくことをお勧めするのです。
ニーズはどこにあるのか?
昔、「チーズはどこへ消えた」という本がベストセラーになりましたが、考え方はそれに似ているかもしれませんね。
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