日本の美意識

日本の美意識を一言で表すとすれば、「粋」という言葉が最も当てはまるでしょう。
そんな話を今日、ある人としていました。
ちなみに、粋という漢字は、コメ粒みたいな小さなものが九個も十個も(要するにたくさん)揃っている様を表しているそうで、洗練された混じりけのない様子を表しているといいます。
日本酒を作るとき、米の芯だけ残してほとんど削り落としていくそうですが、その芯の形がちゃんとそろっているとき、本当にうまい酒が作れるといいます。
粋な酒というのは、混じりけのない洗練されたお酒のことをさし、特に日本酒では、最高のほめ言葉になります。
言葉の意味と知って使うのと、知らずに使うのとでは、言葉の重みは全然違います。
日本料理は、引き算だといわれています。これも、素材の良さを引き出すことが良しとされるからで、ここでもやはり「粋」という言葉が当てはまります。
実は、日本の美意識のすべてには、この「粋」という感覚が入っています。むしろ入っていないと日本らしさは出ません。
人に対しても「粋な人」と使うわけですが、粋な人とは、粋なことをこよなく愛し、他人にも裏表なく(混じりけなく)接する人なのです。
辞書には、風流な人などと載っていますが、風流な人ほど、自然やありのままの姿を愛しています。何もたさないそのままが一番いいと知っている人こそが、粋な人なんでしょう。
そういえば、先日、大工さんと粋について話したことをふと思い出しました。
その人も、「粋」が好きで、自分自身もそうありたいといつも思っているそうです。実際どんな人かというと、いつもにこにこで明るく、人から好かれ何事にも一生懸命。そして人情が溢れる…なんだか、ほめちぎっているようにも思いますが、まさにそんな人です。その人が、こんなことを言っていました。
生き方=粋方
「人それぞれ、いろんな生き方ってあるけれど、せっかく一度の人生だから、粋でいたいよね。そんなのを、粋方っていうのかな?」
とてもいい話だったので、それいただきました!
ありのままの自分をさらけ出せば、相手もそうしてくれる。そんな関係がやっぱり粋なんでしょうね。その人が粋だというのは、いつもありのままだからなのかもしれません。
もう一つ、粋の語源には、意気から転じたという話もあります。気性・態度・身なりがあか抜けしていて、自然な色気の感じられる・こと(さま)。でも、ここでもやはり「自然な」という言葉が出てきます。自然ということは、ありのままということです。どちらにしてもありのままで美しいことや様子を指すのでしょう。
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