新たなP ~Pleasure~

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マーケティングの4Pというと、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の四つです。

それにPhysical Evidence(物的証拠)、 Process(プロセス)、People(人々)と付け足して7Pという考え方もあります。

これだけ、要素が増えてくると、分析するほうも大変になってくるわけですが、それにもう一つ付け加えて8Pとしてみたらどうかと思うのです。

そのPが、楽しさ(Pleasure)です。

だんだんと、物質的なものから抽象的なものへと広がりを見せていっているわけですが、楽しさ(Pleasure)は、もはや数値では測れない要素なのではないか?とも思われます。

しかし、数値化できないことは決してありません。どこに軸をもってくるかで測定は可能でしょう。

たとえば、インターネットのサービスなどはわかりやすいかもしれません。楽しいと思えるサービスであれば、何度も何時間もそのサービスを利用します。それは、アクセスログを見れば一目瞭然。平均滞在時間と一人あたりのPVで計測は可能です。

とすると、商品やそのほかのサービスにも当てはめることは可能ではないでしょうか?その商品やサービスがよいものであれば、利用時間と利用回数は増えるわけです。

われわれ人間に与えられた時間はすべて平等であるわけですが、その時間をどう利用するかは、自由です。これが、人間としての自由なのだとして、生きていくための時間は、義務です。人間は、人生を全うする義務を課せられているからそこ、自由な時間をもつことが許されています。しかし、その生きていく時間の比率によっては、自由な時間を得ることができない場合もあります。

生きていくためには、お金が必要で、そのお金を得るためには仕事が必要で、その仕事を続けていくためには、努力が必要で、その努力にかける時間が必ずしも自分の目標とあっているとは限りません。

くどくどと回りくどい言い方をしましたが、要するに現代人は、時間がないのです。

となってくると、少ない時間を工面していかに楽しさを得るか?ということがポイントになってくるのではないでしょうか。ストレスばかりでは、いずれ病気になってしまいますし。

楽しさへの渇望は、これからますます強くなってくると予測しています。

なぜなら、世界全体の経済が失速し始めたからです。

日本の暗黒の10年において、ストレスは増す一方でしたが、高度成長期のような大きな生活変化は特にありませんでした。今まさに、その時代が全世界に広がりつつあるとすれば、より楽しさ(Pleasure)への渇望は強まっていくでしょう。

大変な仕事だとしても楽しく考えてやれば、それなりに成果も出ますし、あまりストレスもありません。面白い仕事ばかりではないように、日常生活上でも辛いことや大変なこともあるでしょう。そんな時だからこそ、楽しいことが何かないかと、探し始めるのです。

それは、逃げだという人もいるかもしれませんが、自然の摂理です。人間の当たり前の生理現象なのです。精神的ストレスが原因で、不治の病にかかることがありますし、死に至ることすらあります。そうならないように、無意識的に防御するわけですが、それを悪だと信じ切ってしまうと、意識的に楽しいことを否定しがちになります。こういうのは生真面目というか、頑固です。

ちなみに、頑固な人ほどガンにかかりやすいらしいです。

実は現代の病気のほとんどは、精神的ストレスからくるものがほとんどです。免疫学という学問領域など勉強せずとも、そう感じる人は多いのではないでしょうか。

暗い話題や辛いことばかりが話されるようになると、自然とそれが自分自身の中に蓄積されていきます。そうして、何かいいことや明るい話題を探し始めるのです。

そんなタイミングで楽しいことを提案してみると、スッとその人の心の中に入り込んでいってしまいます。乾いたスポンジを水に浸すようなものです。その人の心を満たしてしまえば、もはやそこには小手先のテクニックなど必要なくなってしまいます。

とすると、人にいかに楽しんでもらう商品やサービスを作り、そして提案して行くかが、今後のビジネスやマーケティングに、いかに大切なことかがご理解いただけるでしょう。