必要悪という考え方
最近、2ちゃんねるはなぜ潰れないのか? (扶桑社新書)を読みました。作者は2ちゃんねるの管理人のひろゆきこと西村博之氏。ちなみに、オビには
「もうこれ以上、インターネットは社会を変えない。」というフレーズが。。。むしろ、
このフレーズにノックアウト気味に買ってしまった感があります。
アマゾンのレビューには、賛否両論、罵詈雑言なので「2ちゃんか!?」と思ってしまうほどの反響ぶり。良くも悪くも、
話題になる人ではることは間違いありません。
2ちゃんねるはなぜ潰れないのかということについての結論も早々に書いてありました。
その理由は、「必要だから」
完全に言いきってます。
もし、2ちゃんねるがこの世に存在しなかったとしたら、似たようなサイトが名前を変えて同じようなことをするだろうというのです。
また、仮に2ちゃんねるが法的手続きを経て閉鎖される事態になったとしても、やはり同じようなサイトが生まれるだろうというのです。
(そもそも、そうならないようになっているみたいです)もしくは、2ちゃんねるの残党ともいうべき人たちが、管理者不在のまま、
延々と続けていくかもしれません。
本書の中で、Winny開発者の金子氏についても触れていました。内容は、彼を逮捕すべきではなかったというのです。
実際逮捕後、Winny利用者いなくなったかというと、確かに利用者は減りましたが、今だに利用している人はいるのです。
また、これが問題になったのは、利用者の中に公官庁関係者など情報を決してもらしてはならない人たちがいたことにあります。そして、
Winny自体が問題となったわけではなく、Winny利用者に感染する「山田オルタナティブ」などの山田系ウィルスや「仁義なき○○」
などといったHDDのデータを暴露するウィルスが蔓延したことが、問題でした。
Winny利用を促進したと思われるネットランナーなどの専門誌は全くおとがめなしですし、
ポストWinnyとしてShereというP2Pソフトも出ています。
そもそも、WinMXから始まるこのファイル違法共有ソフトに関しては、
いくら開発者を逮捕しても結局はイタチごっこになるのは明白でした。
むしろ、逮捕されたことによって、バージョンアップはされず、
依然危険な状態で利用している人たちがまだいるという事実に目を向けるべきなのではないでしょうか?
これは、国家権力という力が働いた結果なのだと私は分析しています。個人が自分のPCの情報を漏えいされたということだけであれば、
それほど深刻ではなかったと思いますが、公官庁の機密情報が漏えいしたことによって、自体はかなり深刻になってしまったのです。
そもそも、業務用PCで勤務中に利用していた職員が問題なのですが、
公官庁職員でどれくらいの人たちが利用しているのかが全く把握できない状態になったため、
事態を収拾すべく開発者の逮捕に向かったというのが、真相です。
いわゆるスケープゴートにされたわけです。
・・・今さらそんなことを言っても、どうしようもないですし、どうでもいいことですが・・・
2ちゃんねるとWinnyとの決定的な違いは、情報に対する信用度にあると思います。
2ちゃんねるの場合、誰ともわからない人が勝手なことをぬかしているわけなので、その情報に対しての信用度はかなり低いです。
情報は出典を明らかにしてこそ価値があります。
誰が言ったかわからない話は、その中に真実が隠されていたとしても、高い価値は生み出しませんし、
ややもすると単なる噂としてとらえられるのです。
もっとわかりやすく言うと、本を出版する際に匿名で出版する人はいません。だから、お金を払ってでも得たいと思う情報になるわけです。
(実はそれに気がついたので今では実名を出しています)
Winnyの場合は、確かに利用者の匿名性は高いかもしれませんが、P2Pという特性によって、
信頼性の高い情報が共有可能だったことが、大きな問題でした。Winnyの利用者同士は、
誰かのパソコンにリアルタイムでつながっているということを知っています。実際に、
著作権を明らかいに侵害している動画コンテンツなどが自由に手に入れらたわけですから。
ですから、その情報が誰のパソコンに入っていたのかが問題ではなく、その情報自体が外部に漏れてしまったこと自体が問題なのです。
特に「秘密」「機密」とされる情報は、外部に漏れること自体が問題となります。
私が考えるに、必要悪とは、ある一面では確かに悪なのだと思いますが、ある一面では、
守るべき最低限のルールは尊守しているのだと思います。
必要悪を説明する際によく、「ヤクザ」の話が出ますが、実際「ヤクザ」な人たちも最低限のルールは守って生活しているのだと思います。
「ヤクザ」が交通違反を頻繁にするか?といわれると、決してそうでないように、
必要悪といえども守るべき最低限のルールを持っていると考えています。
西村氏も、2ちゃんねるが犯罪に使われたと言われれば、警察に利用者のログを提出するそうですし、裁判があれば、
できる限り出廷しています。一方では悪といわれるけれども、ルールを守ろうとする意志は尊重できるため、必要悪という位置づけのまま当分、2ちゃんねるは続いていくのでしょう。
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