日本人の活字離れはウソ

日本人の活字離れはウソ

出版物の販売額は減っている

日本の活字離れと言われていましたが、本当にそうでしょうか?

日本の出版販売額は年々右肩下がりのため、出版販売額の推移だけを見れば、たしかに活字離れしているように思われます。

『出版指標 年報 2020年版』より

https://www.ajpea.or.jp/statistics/

書籍、月刊誌、週刊誌それぞれ右肩下がりではありますが、2009年ごろから月刊誌と書籍の販売金額が逆転しています。

月刊誌の落ち込みが最も高く、書籍、週刊誌は同じ落ち込み幅ですが、月刊誌の落ち込み幅が非常に大きいため、販売総額の落ち込みが大きく見えてしまいます。

書籍の出版点数は伸びている

出版物全体の販売額だけを見ていけば、確実に本が売れていないと見えてしまうので、誤解を生みます。

書籍出版点数(「出版年鑑」ベース・2015年以降は「出版指標年報」ベース)

http://www.garbagenews.net/archives/1885090.html

書籍出版点数は、戦後より右肩上がりで伸びています。2013年をピークに下がってきてはいますが、それでも出版点数は高いままです。

書籍はほぼ横ばい

総務省統計局が発表している書籍の出版点数によれば、平成22年〜平成29年までほぼ横ばいです。

出典:総務省統計局ホームページ 書籍の出版点数

出版点数はあくまで、出版社が出している数なので、売れているかどうかわかりません。このデータだけでは、本が読まれているかはわからないのです。

発行点数と販売部数について

実際の販売冊数がわからなければ、活字離れがウソとは言えません。

新刊発行点数販売部数
2000年67,522 点77,364 万冊
2001年69,003 点74,874 万冊
2002年72,055 点73,909 万冊
2003年72,608 点71,585 万冊
2004年74,587 点74,915 万冊
2005年76,528 点73,944 万冊
2006年77,722 点75,519 万冊
2007年77,417 点75,542 万冊
2008年76,322 点75,126 万冊
『2009年 出版指標年報(出版科学研究所 刊)』より

※新刊発行点数の収録範囲は、1995年より改定
※実売部数の算定方法は、取次出荷部数-小売店から取次への返品部数=販売部数
※『2009年 出版指標年報』の詳細は出版科学研究所のサイトよりご確認できます。

このデータを見ていくと、2000年ごろは、販売部数が発行部数より1万冊多かったのですが、2008年になると、販売部数と発行部数は1000冊程度の差しかありません。

これを見ていくと、年間新刊の発行点数が1万冊ぐらいに伸びており、販売部数の減少は2,000冊程度です。

まとめ

雑誌や週刊誌などの販売部薄が減っている反面、書籍は点数が増えており、販売部数はそれほど下がっていないのです。

インターネットで情報が取得できる時代になってから、雑誌の軽い情報などに価値が見いだされなくなった結果と考えるべきでしょう。

インターネットもブログやニュースサイト、HOWTOサイトなど含めて活字です。

特にスマホの普及率が高まった事により、いつでも情報を取得できるようになりました。これまで、雑誌で書いていたライターがWEBマガジンへと続々と移行するようになって依頼、雑誌と同じクオリティの情報がネットで見れてしまうため、月刊誌の売上を減らす大きな要因となっています。

以上のことからもわかるように、結論としては、活字離れは真っ赤なウソです。

これを呼んでいる人も、活字を見ているわけですし。