CGMの脅威

NO IMAGE

CGMとは、Consumer Generated Mediaの略で、インターネットを利用してユーザが内容を生成していくメディアのことを指します。個人の情報発信をデータベース化、メディア化したWebサイトのことで、ブログやSNSと言った、いわゆるWeb2.0的なものの一つとされています。

従来のインターネットメディアは、雑誌や書籍と同様にプロの書き手と編集者が内容を構成していく出版型事業モデルが主流でしたが、CGMでは一般消費者が直接情報を投稿し掲載されます。これによって実体験や生の声がリアルタイムに収集されるようになり、メーカーやマスコミが想定し得ない特殊な事例や利害関係に束縛されない自由な意見が収集できるわけです。また、こうした環境は、ユーザにとっては重要なサポート環境であるばかりでなく、メーカーにとっても商品の良し悪しがそのまま商品の人気に直結する場になっています。

下記はCGMの代表例です。



ここで挙げられたものすべてが、Web2.0にあてはまるコンテンツであることは言うまでもありません。

こうした動きは、他のメディアにも多大な影響を与えていることは間違いいりません。中でもTBSでは、SNSに連動したTV新番組を制作すると発表しました。ネットの意見をそのままドラマに反映するという新しい試みを行っていくそうです。これによって、視聴率の改善と収益向上を目指すことが目的のようですが、TV業界もすでに、単独では生き残りが厳しい時代になってきているといえます。

余談ですが、昨年インターネットの広告マーケットは、ラジオの広告マーケットの売上を抜いたという話がありました。マーケット規模的には、TVCMに迫っている勢いだそうです。この現実は、IT業界にとっては非常に喜ばしいことではありますが、それ以外のメディア業界には完全に脅威になっているわけです。しかしながら、それに気が付いていない人も多いようで、「同じ土俵だったら過去の実績やノウハウを持っているほうが強いに決まっている」と安直に考えている人も中にはいます。ただ、インターネットメディアは、そうした過去の実績やノウハウは簡単に吸収してしまう仕組みがあります。それがテクノロジーです。インターネットメディアとテクノロジーは切っても切り離せない関係で、インターネットメディア=ITテクノロジーと言っても過言ではありません。そもそも、IT革命というものの実際に示すところは、技術革新たけではなく、情報そのものにこそ革命を与えていたという事実に気がつかなければなりません。

とくに、ITテクノロジーが進歩することによって生み出されるメディアは、CGMのようにマーケティングの基本概念を根本から覆してしまいます。それまでのマスマーケティングでは通用しない時代、そしてMassからMinimalへの対極的な方向転換が迫られている現在、マスメディアはその存在価値をもう一度見直さなければならない地点に来ていると思います。