AIは複数の視点を持つべき理由──REM理論と「マルチモデル推論」の発展
AIが良い結論を出すには、1つのモデルだけでなく、異なる役割を持つ複数のモデルを組み合わせるほうが正確になります。これは、私が論文制作から生まれた仕事の流れそのものです。
論文づくりから「マルチモデル推論」が生まれた
話は関係構造と量子力学を結びつけるREM理論からスタートしました。もともと哲学的な直感からはじまった疑問が、数式と物理学で検証可能な形に進化していくプロセスです。
最初のバージョン(REM1)は、仏教思想と量子力学に共通する構造がありそうだ、という発想レベルでした。その後、REM2では数学と物理学を使って証明を試みます。REM3で相転移(情報的な選択と物理的な選択が切り替わる点)の存在を示唆し、REM4で数値検証を行い、REM5でさらに深掘りします。
この過程で、計算はプログラムで行い、データが出そろったら再度論文として公開する。このサイクルを何度も回す中で、あることに気づきました。
複数のAIモデルを役割分担させると、単独のAIより精度が上がる。
ChatGPT、Claude、Gemini、Grokが果たす役割
実際、私はこんなふうにやってます。
ChatGPTには構造の骨組みと論点整理を任せます。その後Claudeが内容をまとめて、正しいかどうかも含めて批判してもらいます。Geminiには数式や物理的な主張を確認してもらい、最後にGrokに別の視点から検証と反論を提示してもらう。
つまり「構造を作るAI」「内容をまとめるAI」「疑うAI」「別案を出すAI」の役割分担です。
このサイクルを内部レビュー→修正→再レビュー→数値検証→再修正→執筆→内部レビュー、という流れで10回も回すと、内容がかなり固まってきます。
この過程で最も重要だったのは、論文の中身よりもこの「複数モデルで検証するワークフロー」そのものを手に入れたことです。
マルチモデル方式を3つの視点に整理:トライアングル推論
5ステップの流れを、さらにシンプルにしました。「トライアングル推論(三角推論)」と呼んでいるスキルです。
3つの独立した視点から同じ問題を分析します。
- 最も合理的な解析点を見つけ、その前提と論理と証拠を示す
- 弱点を疑う視点を加える
- 別の構造を提示する
これをHermes Agentのスキルとして実装しました。実は今はもっと進んでいて、この「3つの独立視点」が初期段階だったんです。シンプルなところから始まってますが、思考の骨組みはここにあります。
AIの「推論性能テスト」——精度を高める6つのチェック
単なる正答率だけでなく、以下をテストします。
- 根拠が回答に反映されているか
- 推論途中に矛盾がないか
- 過剰な判断をしていないか
- 複雑に考えすぎていないか
- 異常な推論経路に入っていないか
- ハルシネーション(嘘)をついていないか
単独のAIだと起こりうるエラーを、複数モデルで検証することで防げます。
REM理論からMonjuプロジェクトへ
REM理論の「ラムダ(相転移点)」という概念が、AIの推論統制に影響を及ぼす方向へ進化しています。
複数の推論を独立に生成して、どこで一致しているか、対立しているか、証拠を共有しているか、異なるか、どの組み合わせによって新しい結論が生まれるか——単独の推論の内部で正しさを探すのではなく、複数推論間の関係構造を適切に形成するほうが、より妥当な答えが出現することを前提にしています。
これを「干渉駆動型推論統制システム」と呼び、現在「Monjuプロジェクト」として進めています。特許申請も済ませており、3年以内に一度審査してもらおうと考えています。
論文を断念しなかった理由——zenodo.orgに公開
研究成果をarXivで公開しようと考えていましたが、他の研究者からの推薦が必要という制限があります。本来専門家ではないので、そうした知り合いがいません。代わりに推薦者が必要ないzenodo.orgで公開しました。
プレプリントは「正式な査読を受ける前の研究成果」です。この論文が正しいと認定されたわけではなく、「こういったレポートを世の中に発表する」という位置づけです。
ダウンロード数は予想より多く、単版でも100を超えています。よくわからないまま出してるので、本当に正しいかどうか自信はありませんが、研究の内容を公開できる、更新可能に残せる、再現可能にできる、バージョン管理ができるというメリットがあります。
AIが得意な分野に絞る
最初は哲学的な主張で始まりましたが、今は検証可能な内容に整理しています。数式を用いた計算で答えを出す——AIが得意な分野に絞って論文を作るのが、重要なポイントだったんです。
単一の正解を求めるのではなく、異なる役割を持たせた複数モデルが相互検証する仕組み。それが、より頑健で信頼できる結論を生み出すということです。
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