Hermes Agent × Obsidianで作るAI記憶基盤。Claude連携との違いと完全自動化の方法
※この記事は10分間セミナー「【Claude連携との違い】Hermes Agent × Obsidianで作るAI記憶基盤」の内容をもとに再構成したものです。
あの時、あの情報が思い出せない——その経験、AIエージェントも同じです
人間は寝ている間に脳が自動的に記憶を整理してくれます。必要な情報は長期記憶に、不要なものは忘れ去られる。意識しなくても脳がやってくれるこの仕組みのおかげで、私たちは日々の情報に圧倒されずに済んでいます。
でもAIエージェントはそうはいきません。いくら高性能でも、セッションをまたいだ長期記憶は自分で管理してあげる必要があります。Hermes Agentにも「メモリー」という短期記憶機能はありますが、ずっと使っていると情報が膨大になってノイズが増え、コンテキストがうまく理解されなくなることもあります。
この課題に対して、私が採用しているのがObsidianを長期記憶基盤としてHermes Agentと連携させる方法です。今回は「Claude + Obsidian」の主流構成と比較しながら、完全自動化の仕組みをご紹介します。
なぜObsidianがAIの長期記憶に向いているのか
ObsidianがAIの長期記憶として優れている理由は、ファイル形式のシンプルさにあります。
ObsidianはMarkdownファイルを管理するツールです。MarkdownはテキストファイルなのでAIにとって非常に読みやすい。Hermes AgentのスキルもMarkdownファイルで作られているのと同じ理由です。人間にも読めるし、AIにも読める。共通のファイル形式としてこれ以上のものはありません。
さらに、リンク構造でノート同士を繋げられるため、グラフビューで知識の関係性を可視化できます。私のObsidian vaultでは、インデックスを起点にすべてのノートがリンクで繋がっています。
「Claude + Obsidian」の主流構成とその課題
現在、Xなどでよく見かけるのは「Claude Code + Obsidian」の組み合わせです。これは人間が能動的に指示を出して、ClaudeがObsidianに書き込み、人間が承認するという流れが基本です。
この構成の特徴は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 操作主体 | 人間(能動的) |
| 保存フロー | 人間が指示 → AIが実行 → 人間が承認 |
| エラー検出 | 人間が自分でチェック |
| ワークフロー | 意識的に「やっといて」と言わないと進まない |
この方法でも十分に機能しますが、「いちいち指示するのが面倒」というのが正直なところです。何かを保存するたびに「これ保存しておいて」と毎回言わなければならない。そして保存された中身を自分でチェックしなければならない。
私のアプローチ:完全自動化された長期記憶基盤
これに対して、Hermes Agentで構築した私の構成は完全自動化が最大の違いです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 操作主体 | AI(自律的) |
| 保存フロー | セッション終了後に自動検知 → 自動抽出 → 自動保存 |
| エラー検出 | クロンジョブで自動チェック |
| ワークフロー | 意識する必要なし。勝手に溜まっていく |
具体的にはこう動いています。
- 1日3回のキャッチアップ:定期的なクロンジョブがセッション内容をスキャン
- 1日1回の取りこぼしチェック:保存漏れがないかを自動確認
- 価値ある情報の自動抽出:重要と判断した内容をバックエンドでObsidianに書き込み
- クローン稼働の確認:自動保存のプロセス自体が正常に動いているかを監視
大事なのは、中身を見なくていいということです。自動的に抽出された情報はきれいに整理されているので、必要な時に必要なものを呼び出すだけで済みます。
この構成で得られる3つのメリット
1. 指示が極限までシンプルになる
「やっておいて」の一言で済むようになります。最初にスキルを作る手間はかかりますが、一度作ってしまえば、その後はプロンプトを意識する必要がありません。過去に作ったスキルの知見を組み合わせて、似たようなタスクも自動で処理してくれます。
2. 使えば使うほど賢くなる
長期記憶が蓄積されればされるほど、エージェントの判断精度は上がります。難しいことにチャレンジすれば、その分だけ知識が深まる。人間とAIが共進化する仕組みです。「昔こういう風にやりましたよ」と過去の知見を引っ張り出してきてくれるので、私自身も「あ、そうだった」と思い出すことができます。
3. コンテキストの問題を回避できる
Hermes Agentの標準メモリー機能は、長期間使っていると膨大になって圧迫してきます。ノイズが増えて文脈の理解がぶれることもあります。Obsidianに長期記憶を分離することで、短期記憶の負荷を減らし、参照コストを下げて意思決定の質を上げることができます。
注意点:ハードルもあります
もちろんデメリットもあります。この構成を実現するには、以下のような自分でのメンテナンスが必要です。
- コンテキスト圧縮の仕組み:やり取りが長くなるとコンテキストウィンドウが溢れるため、圧縮するロジックを組み込む必要がある
- モデル選定のバランス:安いモデルではクローンが動かない、高いモデルではコスト負けする。このバランスは運用しながら調整する
- 継続的なメンテナンス:スキルのバージョンアップに合わせて、記憶基盤側の調整も必要になる
これらのハードルを乗り越えられるなら、長期記憶を持ったエージェントは圧倒的に生産的なパートナーになります。
まとめ:長期記憶がAIエージェントの真価を引き出す
AIエージェントを導入しても「結局プロンプトを細かく書かないと動かない」と感じているなら、それは記憶の仕組みが足りていない可能性が高いです。
一度作ったスキルを覚えていて、過去の判断を踏まえて動いてくれるエージェントは、単なる作業代行者ではなく「共同判断者」になります。人間は方向性を決め、AIは実務を担当する。そしてその結果は忘れずに蓄積されていく。
このサイクルが回り始めると、AIエージェントの可能性は一段階上のレイヤーに引き上がります。あなたもObsidianをAIの長期記憶基盤として使ってみてはいかがでしょうか。
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