【動画解説】Hermes Agentの「スキル」構造を徹底解剖!トークンを節約する3段階ロードとは

先日公開したYouTube動画「Hermes Agentのスキル構造を徹底解剖」の内容を、ブログでもまとめておきます。

自律型AIエージェントとして注目を集めるHermes Agent(ヘルメスエージェント、Nous Research開発)。その中核機能であるスキル(Skill)システムの内部構造を、実際に動画で解説した内容をベースに整理しました。

スキルとは何か?

Hermes Agentにおける「スキル」は、エージェントにあらかじめ手順を覚えさせておくためのファイルです。

たとえば「YouTubeの最新動画をブログに投稿して」と指示すると、エージェントは関連するスキルを自動でロードし、そこに書かれた手順に従って自律実行します。

これが単なる「ツール(Tool)」との決定的な違いです。

ツール(Tool) スキル(Skill)
役割 単一の機能(検索・計算など) 複数の手順をまとめたワークフロー
記述 コード(Pythonなど) YAML + Markdown
実行 呼ばれたら即実行 状況に応じてロードされる
更新 コードを書き直す .mdファイルを編集するだけ

トークンを節約する3段階ロード(Progressive Disclosure)

Hermes Agentの設計で最も印象的なのが、この3段階のプログレッシブ・ロードです。大量のスキルを抱えても、コンテキストウィンドウの破綻を防ぎ、トークンコストを抑える仕組みになっています。

レベル0(常駐) — システムプロンプトに直書きされる最小限の情報。エージェントが「何を知っているべきか」だけを、常にコンテキストに持たせておきます。

レベル1(遅延ロード) — ユーザーの発言や状況に応じて動的にロードされるスキルの説明部分。YAMLフロントマターに書かれたメタデータ(トリガー条件・概要)だけが先に読み込まれます。

レベル2(フルロード) — 実際に実行が決まったスキルの本文(Markdown本文+リファレンス+スクリプト)がすべてロードされます。

この設計により、「全スキルを毎回ロードする」という無駄を徹底的に排除しています。数百のスキルがあっても、実際にコンテキストに入るのはそのうちのごく一部だけです。

スキルファイルの三層構造

1つのスキルは、以下の3つの要素で構成されます。

SKILL.md(スキル本体) — YAMLフロントマター(メタデータ)+Markdown本文(手順・ワークフロー)。これがスキルのエントリポイントです。

references/(リファレンス) — スキルから参照される補助ファイル。設定例、テンプレート、関連情報など。本文とは別ファイルにすることで、必要なときだけ読み込めます。

scripts/(スクリプト) — 自動化スクリプト。Pythonやシェルスクリプトで、スキルの手順内から呼び出せます。

この分離により、スキル本体は「構造」だけを持ち、詳細はオンデマンドで引き出せるようになっています。

なぜ英語で記述すべきか?

ここは意外に思われるかもしれませんが、スキルファイルは英語で書くほうが効率的です。

理由はシンプルで、日本語より英語のほうがトークン消費が少ないからです。同じ内容を伝えるのに、日本語は英語の約2〜3倍のトークンを消費します。スキルファイルは常にエージェントのコンテキストに入る可能性があるため、言語選択はコストに直結します。

実際、公式ドキュメントのスキル一覧も英語ベースで統一されています。

スキルのライフサイクル

スキルが作られてから使われるまでの流れも、よく設計されています。

  1. 発見 — Skills HubやGitHubから目的に合ったスキルを探す
  2. インストール — エージェントにスキルを追加する
  3. ロード — 会話のコンテキストに応じて自動的にロード
  4. 実行 — 指示に従ってスキル内の手順を実行

GitHub上で管理すれば、バージョン管理や他の開発者との共有も容易です。コミュニティのスキルをそのまま使うことも、自分でカスタマイズすることもできます。

まとめ

Hermes Agentのスキルシステムを一言で表すなら、「必要なときに、必要な分だけ、必要なものをロードする」設計です。

  • 3段階のプログレッシブ・ロードでトークンを節約
  • YAML + Markdownの軽量な記述形式
  • 三層構造(スキル・リファレンス・スクリプト)による関心の分離
  • GitHubエコシステムでの発見・共有のしやすさ

これらの要素が組み合わさることで、単なる「AIエージェントフレームワーク」を超えた、実用的で拡張性の高いシステムになっています。

実際の動画では、コードレベルでの構造確認や、実際のスキルファイルの読み合わせも行っています。興味があればぜひご覧ください。

Photo by Markus Spiske from Pexels