Grok 4.5を実測評価。GPT-5.6 Terra / DeepSeek V4 Flash と12タスクで比較してみた【2026年】

先日リリースされたxAIのGrok 4.5が「Opus級」「コードとエージェントタスクに特化」と話題です。

SpaceXAI初の公開買収後モデルで、Cursor買収後に開発されたという点も注目されています。実際どれほどの性能なのか。気になって仕方なかったので、12タスクの実務適性テストバッテリー(model-skill-battery)を回して、GPT-5.6 Terra(ChatGPT 5.6)とDeepSeek V4 Flashと比較してみました。

結論ファーストで言うと

> Grok 4.5はGPT-5.6 Terraと互角の96点(フラッグシップ級)。現行のDeepSeek V4 Flash(71点)から明確なスペックアップだが、実運用で切り替えるメリットはコードレビューやエージェントタスクに限定される。

以下、全て実測ベースの数字です。

テスト方法

今回使った評価項目は以下の12タスク。OpenAI互換APIを直接叩いて、各モデルの生応答をスコアリングしました。判定基準は「○:正答かつfinish=stop」「△:内容は正しいが不完全」「✗:空応答または誤答」の3段階。

#タスク判定基準
1計算(123×456)答えが56088
2英訳(日→英)文法・語彙の正確さ
3要約(日本語)事実を正しく抽出
4JSON生成(今日の日付)正しいJSON形式+日付
5Pythonコード生成(フィボナッチ第10項)実行可能なコード
6分析質問(/etc/hostname)推論・説明能力
7多段指示(3ステップ計算)全ステップ正しく実行
8ブログ要約(5本→3本を選定)選択基準+要約品質
9定型レポート(Markdown表)正しい形式変換
10コードレビュー(バグありコード)TypeError・副作用の指摘
11X投稿文(140字以内)文字数+内容正確
12監視レポート(死活+状態判断)異常検知・判断能力

比較結果

総合スコアはこんな感じです。

モデルスコア
GPT-5.6 Terra96/1001110
Grok 4.596/1001110
DeepSeek V4 Flash71/100732

GPT-5.6とGrok 4.5が並んで96点。DeepSeek V4 Flashは71点で、実用十分ラインにはあるものの、コード生成と多段指示で空応答が出ました。

重要なタスクの実測内容

コードレビュー — 3モデルの差が最も出た

いちばん差が出たのがコードレビューです。以下のバグありコードをレビューさせました。

def calc(a, b):
    result = a + b
    print('The result is: ' + result)
    return result

def process(items):
    for i in range(len(items)):
        print(items[i])
        items[i] = items[i] * 2
    return items

Grok 4.5の応答:

  • print('The result is: ' + result) のTypeErrorを指摘
  • process関数の破壊的変更(入力リストの書き換え)を具体的に指摘
  • 修正案コード+総合評価表まで提示

GPT-5.6 Terraの応答:

  • 同上の欠陥を指摘
  • さらに型ヒント・docstringの欠如も指摘
  • 論点を体系的に構造化

DeepSeek V4 Flashの応答:

  • TypeErrorと副作用は指摘できた
  • 内容は十分だがGrok/GPTほどの詳細ではない

日付認識 — 全モデルの共通弱点

全モデルに共通した減点ポイントが「今日の日付」を含むJSON生成タスクです。

  • GPT-5.6 Terra: 2026-07-12(1日差。ほぼ正解)
  • Grok 4.5: 2025-03-05(約1.5年の誤差。知識カットオフ由来)
  • DeepSeek V4 Flash: 2025-04-09(約1年の誤差)

カットオフ日付が古いモデルほど誤差が大きい傾向があります。実運用では今日の日付をモデルに依存させず、アプリケーション側で注入するのが正解です。

コード生成 — GrokとGPTは完走、DeepSeekは空応答

フィボナッチ数列の第10項を計算するコード生成では、Grok 4.5もGPT-5.6 Terraも問題なく実行可能なコードを出力。一方、DeepSeek V4 Flashは推論トークン消費後に空応答(finish=length)になりました。max_tokensが小さい設定で顕著に出る傾向です。

Grok 4.5の特徴と使いどころ

Grok 4.5の価格は $10/100万入力トークン、$40/100万出力トークン。GPT-5.6 Terraより入力が約55%安く、出力が約20%安い計算です。

モデル入力(100万トークン)出力(100万トークン)
GPT-5.6 Terra$22$50
Grok 4.5$10$40
DeepSeek V4 Flash$0.35$0.88

コスト優先ならDeepSeek(約1/30)、品質優先ならGrok 4.5(GPT比でコスト半減)という選択肢になります。

以下の用途ならGrok 4.5に切り替える価値があります:

  • コードレビュー — Grok 4.5のレビュー品質は実用水準。GPT-5.6に肉薄
  • エージェントタスク — 指示追従と多段処理が正確。空応答ゼロ
  • コスト重視の高品質タスク — フラッグシップ級の品質を半額で

逆に、汎用的な日本語対話や定型処理ならDeepSeek V4 Flashで十分。コスト差を考えれば、使い分けが現実的です。

まとめ

Grok 4.5は「Opus級」という評判に偽りなし。実測でもGPT-5.6 Terraと互角のスコアを叩き出しました。DeepSeek V4 Flashからの移行を検討する価値は十分ありますが、「全部Grokに置き換える」より「コードレビューや複雑なエージェント処理ではGrok、日常タスクはDeepSeek」という使い分けがコスパ最適でしょう。

日付認識の弱さはGPTもGrokも同じです。LLMに現在日付を正しく答えさせるのは、まだどのモデルでも難しい。この点はツールやシステム側でカバーする必要があります。

今回の実測データはすべて公開しています。もし「このモデルも測ってほしい」「このタスクで比較したい」というリクエストがあれば、X(@Mark7)までどうぞ。