Hermes Agentのスキルとカンバンの違いとは?比較表でわかりやすく解説
はじめに
Hermes Agent(エルメス・エージェント)を使い始めると、「スキル(Skill)」と「カンバン(Kanban)」という2つの重要な概念にぶつかります。どちらもAIエージェントの能力を拡張するものですが、役割と使いどころがまったく違います。
「スキルとカンバンって何が違うの?」「どちらを使えばいいの?」という疑問に、比較表を中心にわかりやすく解説します。この記事を読めば、Hermes Agentの2大機能を正しく使い分けられるようになります。
結論:スキルとカンバンの違い
スキルは「どうやるか」を記憶する仕組みであり、カンバンは「誰がいつ何をやるか」を管理する仕組みです。両者は対立するものではなく、互いに補完し合う関係にあります。
比較表で一発理解
基本対照
| 観点 | スキル(Skill) | カンバン(Kanban) |
|---|---|---|
| 本質 | あなたのプロシージャルメモリ——再利用可能な手順書 | マルチエージェントタスク管理システム——作業の分配・追跡基盤 |
| 保存先 | ~/.hermes/skills/(SKILL.md + 参照ファイル) |
~/.hermes/kanban.db(SQLiteデータベース) |
| スコープ | 単一プロファイル内で動作 | 複数プロファイル間で連携 |
| 実行主体 | 会話中にロードして使用 | ディスパッチャーが自動的にWorkerプロファイルを起動 |
| 永続性 | スキルファイルは更新しない限り不変 | タスクは作成→進行→完了のライフサイクルを持つ |
機能比較
| 機能 | スキル | カンバン |
|---|---|---|
| 手順の保存・再利用 | ✅ 中核機能 | ❌ 目的外 |
| エラーハンドリングの知見保存 | ✅ 失敗→pitfallとして記録 | ❌ 失敗ログはあるが設計知識ではない |
| 複数Workerへのタスク分配 | ❌ 一人でやる | ✅ 中核機能(orchestrator→worker) |
| 依存関係管理(親子タスク) | ❌ | ✅ --parent で直列/並列制御 |
| 並列実行 | ❌ 直列のみ | ✅ 独立タスクは並列 |
| ヒューマンインザループ | ❌ | ✅ kanban_block で人間の判断待ち |
| 定期実行(cron連携) | ✅ cronjob + skill | ✅ ディスパッチャーが定期ポーリング |
| 進捗報告(ハートビート) | ❌ | ✅ kanban_heartbeat |
| リトライ・リカバリー | 人間が再実行 | ✅ 自動リトライ + ダッシュボードでReclaim/Reassign |
| 監査証跡 | log.md への記録 | ✅ 全イベントがDBに記録 |
向き・不向き 早見表
| シチュエーション | スキルが適切 | カンバンが適切 |
|---|---|---|
| よく使う手順を記憶させたい | ✅ ぴったり | ❌ オーバーキル |
| バグの再現手順・回避策を残したい | ✅ ぴったり | ❌ |
| 「調査して」「実装して」「レビューして」の3段階 | ❌ 一人で全部 | ✅ ぴったり |
| 長期実行タスクの途中経過を見たい | ❌ | ✅ heartbeat |
| 途中で人間が判断を挟みたい | ❌ 割り込み不可 | ✅ kanban_block |
| 複数モデルの使い分け(調査→実装→レビュー) | ❌ 同一モデル | ✅ プロファイルごとにモデル指定 |
| 「さっとやって」な単発作業 | ✅ スキルロード→即実行 | ❌ セットアップが大げさ |
補完関係:対立ではなく協調
スキルとカンバンは「どちらかを使う」ものではなく、組み合わせて使うことで真価を発揮します。
スキル(How to) カンバン(Who does what when)
│ │
└── カンバンタスクのbodyで ──────────┘
「wiki-vaultスキルをロードしてから作業」
カンバンのタスク指示(body)で「○○スキルをロードして作業せよ」と書くのが標準パターンです。また、Workerプロファイルには --skill wiki-vault のようにスキルを強制ロードすることもできます。
スキルは「どうやるか」、カンバンは「誰がいつ何をやるか」を管理します。この2つが揃って初めて、Hermes Agentは本格的なマルチエージェント業務自動化を実現できます。
実例:ナレッジベース化パイプラインでの役割
実際に私が構築した「情報発見→Wiki化→レビュー」のパイプラインでは、スキルとカンバンがこんな風に連携しています。
スキル: wiki-vault → 「Wikiページの作り方・index.md更新ルール」 スキル: wiki-kanban-discovery → 「パイプライン起動手順」 カンバン T1 (researcher) → 「直近セッションをスキャンして発見」 カンバン T2 (default) → 「wiki-vaultスキルを使ってWiki保存」 カンバン T3 (reviewer) → 「クロードソネトで品質レビュー」
スキルが手順を提供し、カンバンがそれを適切なプロファイル(モデル)に分配する。この組み合わせによって、調査はdeepseek-chat、Wiki保存は汎用モデル、レビューはClaude Sonnetと、それぞれ最適なAIモデルに役割を割り振ることができています。
まとめ
- スキルは「どうやるか」の手順書。よく使う作業フローを記憶させて再利用する。
- カンバンは「誰がいつ何をやるか」のタスク管理。複数プロファイルへの分配と進捗追跡を行う。
- 両者は対立ではなく補完関係。カンバンタスクのbodyでスキルを指定するのが標準パターン。
- スキル+カンバンの組み合わせで、Hermes Agentのマルチエージェント機能を最大活用できる。
Hermes Agentを使いこなす第一歩は、この2つの違いを理解することです。まずはよく使う手順をスキル化し、複数ステップの作業はカンバンで管理する——この基本を押さえておけば、AIエージェントの活用範囲がぐっと広がります。
Photo by Tara Winstead from Pexels





