新・組織論 〜自然からの学び〜
ライオンのような強いリーダーシップ
組織を語る時、こんな言葉を聞いたことはありませんか?
「一頭のライオンに率いられた百匹の羊の群れは、一匹の羊に率いられた百頭のライオンの群れにまさる」
皆木和義 市川周(中経出版)2005.2.19
これは、強いリーダーシップが発揮されることによって強力な組織が作られることを揶揄している言葉です。
はじめのうちは、なんとなくそんなものか・・・強いリーダーシップを発揮することが強い組織を作ることだと思ったのですが、でも実際の組織ってそれだけではうまくいきません。
仮に、ライオンが率いた百匹の羊の群れが存在したとします。
この言葉のように、羊に率いられたライオンの群れよりも強いかもしれません。
しかし、リーダーのライオンがいなくなってしまうと、単なる羊の群れです。
単なる羊の群れはライオンの群れより劣ります。
羊の群れ<ライオンの群れ
ライオンが率いていたときは、
ライオンリーダー>羊リーダー
という公式でした。
ただし、これはライオンリーダーが居れば成り立つ組織論で、ライオンリーダーがいない場合は単なる羊の群れに終わります。そして、リーダーシップを語る時に「あなたはライオンリーダーに慣れてますか?」などと言われるのです。また、羊の群れからはライオンは生まれません。
狼型の組織論
しかし、この考え発想はもはや前時代的な組織論と言わざるを得ません。
社会が成長段階のときは物質的な豊かさを求めて、力強いリーダーの存在が重要でした。しかし、物質的充足がある今、もはやそんなリーダーは邪魔になるばかりです。
これからの組織論は、狼型だと思います。
狼は常に群れで行動します。平均4 – 8頭ほどの社会的な群れ(パック)を形成します。
パックの数が偶数なのは、狼は単独ではなくペアで行動するという生態があるからです。
群れから離れた狼のことを俗に「一匹狼」といい、組織の中で馴れ合わない人のことを言う語源にもなっています。
狼が狩をする時、単独で狩をすることはなくペアもしくは、パックで狩りをします。
より大きな獲物をみんなで取りに行くわけです。協力するから一匹で狩るときよりも獲物を得る確率は高くなります。
同じ狩をする動物で比較するとチーターよりも確実に獲物を撮ります。
チーターの最高時速は120Kmですが、狼はだいたい60kmです。
一般道と高速道、フェラーリとアクアぐらいの佐があります。
能力にこれほど差があっても、得られる獲物の量が違うのは、狼のほうが生産性が高いからなのです。チーターは1匹だけなので、自分が食えれば十分ですが、狼は群れで行動するので、群れが食えないといけません。
チーターの場合、成獣は2 – 5日に1度獲物にありつければ十分です。子育て中のメスは毎日狩りに成功する必要がありますが、なかなかそうは行かないみたいです。狼の捕食成功率は平均50%台といわれています。
人間社会に置き換えてみると、能力の高いフリーランサーよりも、そこそこの人たちがいいチームを作っている方が儲かると言えます。
しかし、それは、オオカミのパックのようなチームがちゃんと機能していればの話ですが。
狼にリーダーはいない?
狼には明確な序列がありその序列で自由度が決まります。アルファ、ベータ、オメガと呼ばれ、この順位は常に意識・確認されてパックは維持されています。ウフルパックの行動はアルファの行動にベータ、オメガが従うというものです。また、アルファは体の大きさや強さで決まるのではなく、性格や態度で決まるといいます。このあたりは、人間も見習うべきかもしれません。
人間の組織では、成果を上げた人(強い人)を昇給させていくため、アルファの思ったとおりに行動させておくとパックがおかしくなってしまいます。
そんな機能不全を起こしているチームや組織は日本にはたくさんあります。
狼の場合、パックの中でコミュニケーションを取りながら決めているようなので、人間もパックを作ってコミュニケーションを取りながら、グループリーダーを決めていくやり方が一番良い方法かもしれません。狼の場合、アルファにみんな従うわけですから、パックの存続はアルファ次第と言っても過言ではありません。パックが全滅するようなことは絶対避けなければなりませんし、パックの中から負傷者を出すことも避けなければなりません。合議制のチームワークがここに存在しています。
これからの組織論の中において、この合議制のチームワークとアルファの位置づけは、ビジネスの組織論においても重要だと思います。
参考URL
-
前の記事
ディレクターの役割とは? 2018.11.25
-
次の記事
日本人は本当に働きすぎ? 2019.05.04