ディレクターの役割とは?

ディレクターの役割とは?

ディレクターはディレクションする人のこと

ディレクターというと、番組制作において使われる用語として一般的には認知されていますが、本来ディレクターとはディレクションをする人のことを指して言うのだと思います。

それでは、ディレクションとはなにか?

ディレクションというと、今度はWEBの業界で使う用語として一般的に認知されますが、広義では方向性を定めることです。私は、これまでWEB、印刷、書籍、動画、イベントなど様々な制作を行ってきました。そこではっきりと言えることは、ディレクションの基本的概念はすべて一緒だということです。

ディレクションとは、方向性を示し、成果物を形にするまでの一切の業務のことを指すと自分では定義しています。成果物を形にするために必要な材料や時間を管理し、明確な方向性を指し示して最適なものを作り出していくことです。

ディレクションは、全体を方向付けすること

Directionとは、方向、方角、指揮、監督などという意味がありますが、言葉のニュアンス的には「方向づけること」を言います。制作における方向付けが本来のディレクションの意味なのです。

ディレクション業務において最も重要なのは、全体の方向付けです。ぼんやりとでも完成形をイメージできていることがディレクターの仕事と言っても過言ではありません。その完成形のイメージをクライアントとすり合わせて、具体的に形にしていくことで成果物は生まれます。

作る前にイメージを持つことです。WEB、印刷、書籍、動画、イベントに至るまで、作る前にディレクターは完成形のイメージをぼんやりと持っていると方向付けしやすくなります。

逆にそうしないと、デザイナーに具体的な指示ができませんし、クライアントに最適な提案ができません。

ディレクターの仕事はデザインをするのではない

自分も多少デザインをしますが、デザインの感性は若い人たちのほうが圧倒的に高いです。年をとると感性は鈍り、そして時代遅れになっていきます。時代遅れになったものも、後の若い人たちから評価されればリバイバルされます。ファッション業界では、割とそんなことが起こっていますが、デザインに関わるすべての業界はそうした流れはあります。

巨匠と呼ばれる人ほど、自分でデザインしていません。コンセプトや全体像を的確にお弟子さんに伝え、そしてそのお弟子さんの感性で形にしてくのです。そのほうが効率的ですし、より良いものが作れます。クリエイティブディレクターや、アートディレクターと呼ばれる人たちの仕事がまさにそれです。

デザイナーに直接仕事を依頼しないほうがいい

よく素人が、デザイナーに直接仕事を依頼したほうが安上がりだと思って頼むケースがありますが、あれはよくありません。発注者にディレクションの能力を持っている人がいれば良いのですが、人員の少ない中小企業では、ディレクション能力を持っている人がいるケースがのほうが少ないです。大抵、みんな素人です。お役所も同じです。ただ、最近のイケてる市町村の役所では、職員を大手広告代理店に出向させて勉強させているところもあるようですが、まだまだ少ないです。

ディレクションを知らない人が、デザイナーに仕事を頼むとどうなるか?

思ったのとは違う結果になります。もしくは、妥協しなければなりません。

デザインや感性は言語化しにくいものなのですが、イメージを持たずに伝えてしまうと、大抵の場合デザイナーに理解されません。

そして、発注者は決まってこういうのです。

「プロだと思ってお願いしたいのにイメージとぜんぜん違う」

これが、不幸の始まります。

ディレクターの役割

クライアントとデザイナーを不幸にしないため、その間を取り持つのがディレクターの役割です。簡単に説明すれば、クライアントとデザイナーの橋渡しをすることです。クライアントが望む以上のものをデザイナーのセンスと技術を使って実現していくことが、本来ディレクターの仕事なのです。

ディレクションのスペシャリストにして、究極のゼネラリスト。それがディレクターだと自分は思います。