大評判を呼んだタブレット専用新聞「The Daily」が2年で廃刊

アップルのスティーブ・ジョブズとニューズ・コーポレーションのルパート・マードック、メディア界の両巨頭がiPadオリジナル用新聞という形で手を組んで創刊! というニュースが驚きと称賛(「彼らならやるかもしれない」)とともに、世界を駆け巡ったのが2010年11月。

あれから2年、その後iOS以外のアンドロイド・タブレットやKindleなどの電子書籍端末、スマートフォンなどでも閲覧できるようになっていたそのデジタル新聞「The Daily」の廃刊をニューズ・コーポレーションが決定、というニュースが淡々と流れました(「ああ、やっぱりねえ」)。

The Daily中の人コメントも、創刊時からの内情がうかがえて興味深いですね。

私個人としては、新聞の体裁をタブレットサイズで展開することに全精力を注ぐあまり、記事のオリジナリティが薄味なところが「新聞」としては厳しいんじゃ。と思っていたのですが-ああ失礼、つい先見の明を誇るかのような書き方になってしまいましたが、実際に紙面を見ればおおむねそのような感想を「持つほかがない」紙面だったのです。

やはり多くの読者にとって「新聞」のアイデンティティーは記事がどれだけコンパクトにまとまっているか、にはなかった。記事がどれだけ情報を掘り下げているか、あるいは自分の知らない情報があるか、というところにこそ、新聞の価値は求められていた、ということだったのではないでしょうか。

ただ、創刊号でも絶賛されたリッチな広告モデル(新聞を開くと広告から抜け出した自動車がタブレットの画面上を縦横無尽に走る)のような試行錯誤は、新時代に適応するためには必要なチャレンジだったとも思うので-ああ失礼、なんだかしみじみしちゃいましたね。ニューズ・コーポレーションは企業体制を再構築して巻きなおしを図る、とのことですし、次のチャレンジに期待したいものです。