モノを作るな!アイディアを作れ!

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先週の日曜日2010年1月24日 午後9時00分〜9時49分からNHK総合テレビで放映されたNHKスペシャル「メイド・イン・ジャパンの命運」を見て感じたことを、Twitterでつぶやいたところ、思わぬ反応があったので、ブログの記事にしてみました。

番組の概要についてはNHKのサイトを見てもらった方が詳しいのですが、簡単に言うと、世界最強のブランドとまで言われた「メイド・イン・ジャパン」が、何を作り、何を稼いで行くかで必至だという話です。

特に、テレビ業界(今は液晶やプラズマといった薄型テレビ)では顕著になっておリ、少しでも安いモノをと考える消費者にとって、ある程度技術力を持てば、日本製品のアジアにおける優位性が一気に無くなるというのです。

これまで、日本が、アメリカや欧米市場に対して行ってきたことが、今は中国や韓国に同じことをされているという話です。

世界第2位の経済大国という肩書きも、そろそろ中国にとって代わられるところまで来ています。

このまま、日本の国力が衰退して行くのをただ静観していてよいのでしょうか。

日本が、高度成長期に欧米より製造の分野で勝てたのは、ものづくりに対する考え方の違いだったと言う話を聞いたことがあります。

例えば、テレビを作るとしたとき、欧米人は、この部品は幾ら、この部品は幾ら、この部品は・・・というように各部品価格を積算して販売価格を決めていました。

しかし、日本人は、10万円のテレビを作るには、どの部品を幾らで仕入れられるか?というところで製造を行ったのです。

そして、価格でまず勝ちました。しかし、ただ安いだけではモノは売れません。はじめは売れるかもしれませんが、製品に不具合が多ければ、次から買ってもらえないのです。

しかし、日本人のものづくりの姿勢は、低価格でも高品質を目指し取り組んでいました。その結果は、周知の事実です。

中国が台頭し始めたのは、2000年に入ってからです。それから10年、中国のものづくりには、大きな変化がありました。

そもそも、中国の製造業の礎を作ってきたのは、日本をはじめとした先進国でした。2000年前後より、人件費が安いと言うことで、様々な製造分野が中国に進出しました。アメリカのパソコンメーカーをはじめとした企業も積極的に中国に乗り出したのもこのあたりです。

現在のモノづくりは、ロボティクスによるファクトリーオートメーション になっており、日本で使っている製造機械を使えば、中国だろうが韓国だろうが、インドだろうが、同じ品質のものが出来上がってくるのです。

しかも、価格競争力があり、品質的に日本製とさほど変わらなければ、このご時世消費者が選ぶモノもある程度決まってきます。

では、こうした時代の中でどうすれば勝ち残ることができるのでしょうか?

答えは、タイトルにある通りで、モノを作ろうとせずに、アイディアを作る事にあると思います。

モノが生まれる過程において、まずアイディアありきではあるのですが、その出発点がこれからは今まで以上に重要になってくると思います。

理由は一つ。

誰でも簡単に情報が手に入る時代だからです。

なかなかモノが売れない時代と言われる中でも、成功しているところはいくらでもあります。

そこには、必ず他社よりもいいアイディアが盛り込まれています。

そのいいアイディアと言うのは、新しい価値観によって作られたアイディアです。古い価値観では、いつまでたっても出される結論は一緒で、一向に前には進みません。

モノづくりに携わる人で、何度会議をやっても先に進まないと言う経験を持っている人はいないでしょうか?必ず何かしら障害が発生し、そのたび話が元に戻ってしまうというような経験です。

これは、古い価値観で話しあっているから先に進まないのです。

日本人は、ルールを尊重するあまり古い価値観にとらわれすぎる傾向にあります。もちろん、最低限のルールは必要ですが、ルールにばかりとらわれすぎると、全ての発想を殺してしまうのです。

一番わかりやすい例では、GoogleのモットーにしてあるDon’t be evilです。

「悪になるな・悪いことはするな」などは、子どもでも分かりますが、実は、社会通念的にはこれで十分なのです。しかし、新しい発想を生み出すには、ここが出発点であることがとても重要です。

誰のために悪ことか?と言う点を考えてみてください。利用者にとって悪いことは何一つGoogleは行っていませんが、様々な業界にとっては、不利益となることも平然と行います。彼らはそれを悪いこととは思っていないのです。むしろ、業界の体質こそが悪なのだと言っているのです。

それと同じことをやったのは、スティーブ・ジョブズです。iTunesによって音楽業界は大打撃を受けました。しかし、これによって音楽を聞く側が新しい業界を作っていくことになったわけです。

最近では、Amazonが電子ブックリーダーを出して話題になりました。今後、こうしたモノがどんどん増えて行くことが予測されます。

もうそろそろ、テレビゲームもやった事が無い老人達には御退席願って、新しい価値観を備えた人が主導権を握っていかなければ、日本自体が勝ち残るのは難しいでしょう。