風が吹いたら桶屋が儲かる
今の経済状況を見てく上で、風が吹けば桶屋が儲かるという発想を持つことが重要だと考えています。
そのお話を知らない人も居ると思いますので、Wikipediaからの抜粋を読んでみてください。
江戸時代の浮世草子『世間学者気質(かたぎ)』巻三(無跡散人著、明和5年、1768年)が初出である。ただしここでは、「桶」のかわりに「箱」であり、「風が吹けば箱屋が儲かる」などの成句の形では書かれていない。また、『東海道中膝栗毛』二編下(享和3年、1803年)に現れるのも有名で、ここでも「箱」になっている。
今日の大風で土ほこりが立ちて人の目の中へ入れば、世間にめくらが大ぶん出来る。そこで三味線がよふうれる。そうすると猫の皮がたんといるによって世界中の猫が大分へる。そふなれば鼠があばれ出すによって、おのづから箱の類をかぢりおる。爰(ここ)で箱屋をしたらば大分よかりそふなものじゃと思案は仕だしても、是(これ)も元手がなふては埒(らち)明(あか)ず
– 無跡散人『世間学者気質』より, 慣用句辞典より転記。[1]
つまり、
1. 大風で土ぼこりが立つ
2. 土ぼこりが目に入って、盲人が増える
3. 盲人は三味線を買う(当時、三味線は盲人が弾いた)
4. 三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
5. ネコが減ればネズミが増える
6. ネズミは箱を囓る
7. 箱の需要が増え箱屋が儲かる
ここでは、箱屋になっていますが、桶も箱も一緒です。要するにネズミがかじるから必要だろうということなので。
正直、この話には根拠はありません。しかも、そんな話をしたって信じる人は居ないでしょうし、ましてや桶屋を始めようと思う人も居ないはずです。しかし、「風が吹けば桶屋が儲かる」のは0.8%!? 身近なケースで学ぶ確率・統計 PHP新書という書籍も出ているので、一概には言えません。
今世界で起こっている、100年に一度とも言われる不況は、まさにこうした流れが現実になった結果とも言えます。アメリカのサブプライムローンに端を発したところまでは、ニュースでも取り上げられているためわかるかもしれませんが、そのおかげで実は中東のある国は儲かりました。
アメリカが風邪をひいたらドバイが儲かった。
- サブプライムローン問題で、投資家はお金をアメリカから引き上げた
- しかし、投資家はお金を手元に置いておくだけでは稼げない
- 次なる投資先を探していた
- どうやら、原油先物市場でドバイが儲かっているようだ
- それを知った投資家たちはこぞってドバイにお金を流し込んだ
- その結果、ドバイでバブルが起こった
簡単に説明するとだいたいこんなものです。では、もう一つ。
アメリカが風邪を引いたら日本は肺炎になった。
- アメリカがサブプライムローン問題のため不況になった
- 日本はもともと10年以上不況だったが、アメリカにモノを売ってなんとかやりくりしていた
- バブル崩壊後を思い出した
- そのとき大企業が一番困ったのは資金繰り(リストラという言葉もこのとき生まれてる)
- 同じツテを踏まないように自己資金を蓄えておかなければならない
- 海外に投資などの形で置いてあった資金を日本に戻す
- 日本にお金が流れるから円が上がる
- 円が上がると、輸出産業の利益は吹っ飛ぶ
- モノが売れなくなったばかりか、今度は売った分だけ赤字
- 日本の輸出製造業のほとんどは赤字決算
これも、ちょっと極端すぎますが、だいたいこんなもんです。
特に現在のようにグローバルなマクロ経済では、風が吹くと桶屋が儲かるというようなことが現実に起こってしまっているのです。
先行きが見えないとよく言われますが、実際に嘘みたいな話が現実に起こっているわけですから、見えなくて当然です。次何が起こるのか日本の総理大臣にすら予測できていません。
先が見えない不安は、閉塞感につながります。今はそうした中でなんとか先を見ようとあがいている状況です。
日本が今、すべきことは、内需拡大なのです。これまで輸出産業に頼ってきていましたが、それが出来なくなってしまいました。そして円高。輸入を増やして内需を拡大していけば、今度は日本に大きな風が吹いてくると思います。
実は今の日本にはかなりの額のお金があります。それを使わずに居るだけなのです。というか、先が見えてこないから使えないのです。先が見えるのであれば、先行投資もできますが、先が見えない状況ではそれは出来ません。日本の優秀な経営者の多くはそうした状況にあるのです。
そうしたことをふまえて考えていくと、先頃決まった定額給付金はその閉塞感を打破するための風とも考えられます。(もちろん賛否ありますし、消費税引き上げとセットだったり、詐欺の発生も考慮されるため問題は山積みですが)これによって、内需拡大の足がかりになれば、少しは先行きも見えてくるはずです。
内需が拡大し、日本にお金やモノがどんどん流れ込んでくると、今度は国内でバブルが起こります。お金は、儲かっていそうなところを好む習性があるため、世界中から流れ込んでくるでしょう。しかし、その時はいいかもしれませんが、そのバブルがはじけ飛んだとき、日本はより悲惨な状況になります。もしかすると、国そのものがなくなってしまうかもしれません。それぐらいの危機的状況も考えられます。
ただ、今は転換期であるため、どちらに転ぶのかははっきりしていません。
そんなことを考えていくと、「国政とは、国にいかに良い風を吹かせるか」なのかもしれません。