変革のとき

100年に1度の大不況などと揶揄される昨今ですが、今までの不況とは違い、明らかに時代に変革を求められているような気がします。

特に、産業構造の変革が今年から本格的に始まっていくでしょう。

先行きの見えない不安が蔓延している中、それを尻目に着実に準備をしている人たちも居ます。そうした人たちは、既に次の時代を見据え、しかも進むべき道もわかっているのです。

今、我々に求められていることは、そうした変革期とどう向き合うかです。

世界は、先行きを見据えられる人たちの手によって、また新しいステージへと導かれるでしょうが、それに順応し、そして新しいステージへと自分も上れるのかということです。

そのためには、傍観者になってはならないのです。積極的に当事者にならなければなりません。マズロー、トフラーの考え方をあわせると最終的に求められるのは、自発的な社会であり、それを実現すべき自発的な人間なのです。

最近、私はそうした活動を行っている人たちと接する機会が増えてきました。社長など特別な人ではなく、一個人として自発的な活動を行う人たちです。

人の縁は、必要な時に必要な人に会うようになっていると言います。それは、一瞬早すぎず、一瞬遅すぎない。

この言葉は、私のとても尊敬する方から教えてもらった言葉ですが、私もそう思いますし、今までもそうでした。

今まさにそうした人たちと出会うことは、その縁が、私に何かを伝えようとしているからなのだと思います。そして、その縁が自分にも何か求めているのだと感じるのです。その求められていることに応えることが、私の使命です。

そうしたことに一人一人が気づいていけば、間違いなくよい方向へと行くのです。

派遣切りなどといって騒いではいますが、それを望んでいたのは、派遣社員としてはたらしていた人たちです。私は、最も就職が困難と言われた時代に、就職活動をしました。そんな時代でも、派遣社員やフリーターなどには流されず、厳しくても正社員の道を選んだのです。そして、今は、山形で正社員として働いています。自分も弱い人間なので、楽な方へと逃げたくなります。しかし、その自分の弱さをよく知っているからこそ、あえて厳しい方へと自分を追いやらなければならないとも考えているのです。そうしないと、いつかそのツケは回ってきますから。

昨年は、様々な不祥事が噴出した年でもありました。なぜそんなことが起こったのかというと、嘘をついた商売をしていたからです。だから、そのツケが回ってきたのです。

今年は、楽をして稼ごうとしていた人たちにツケが回ってきます。なぜそういいきれるのか?それは、作ってもモノが売れないわけですから、楽して商売は出来ないからです。

金融関係では、そのツケは昨年から回ってきていますが、今年はほかの業界にも波及するでしょう。自動車など製造業は、その手始めに過ぎません。

戦後50年、日本を牽引してきたのは間違いなく、製造業です。バブル崩壊後も、不況と言われる中で堅調だったのはやはり製造業でした。それが、日本らしさでもあり、日本経済そのものだったと言っても過言ではないでしょう。

しかし、それにあぐらをかいていたのも日本なのです。

中国を始めとするアジア諸国が、製造の分野で台頭してくる中、それでも世界は日本製品を買っていました。それは、これまで培ってきた信頼があったからこそです。

永続的にモノを買えることが前提であれば、それでもよかったかもしれませんが、今はそういう時代ではありません。環境問題もあり、長く一つのものを使おうという志向になっていますし、そもそも、今まで買ってくれていた人たちは、もう買えなくなってしまいました。

日本が世界に顔を向け始めた頃はまだ農業国でした。しかも貧しい農業国だったのです。それがたった10年足らずで、工業国へと変貌していったのです。そして、大戦が終わった後もずっと工業国としてその地位を不動のものにしていきました。大きな変革期にあったためだったのかもしれませんが、日本は確実に産業構造の変革を過去に経験しているのです。

そして今、日本は、2度目の変革期に来ているのだと感じます。

多分、それを感じているのは、私だけではないでしょう。この記事を読んでいる人の中にも、いるのではないでしょうか。

ただし、今回の変革は、自己変革とも言うべき個を重視した変革だと私は考えています。

世界が注目する中、先日オバマ新大統領が就任しました。そこでは、どんな状況であろうとも、アメリカはアメリカであるということを目の当たりにしたのです。

日本も、どんな状況や変革が訪れようとも日本であることを貫き通すことが必要なのです。日本人が日本人たらしめるのは、自分が日本人だという自覚だけです。

昔の日本人には自分のことしか考えない身勝手な人は、居ませんでした。そのことを今一度考える時期でもあるのです。