きらりよしじまネットワーク

今朝、あるコミュニティビジネスについてのセミナーで、山形県川西町 きらりよしじまネットワークの事例を聞きました。

NPO法人として町づくりを行っている団体ですが、活動内容は全国的にも例を見ません。

実際の行っている活動は、社会教育から始まり老人福祉、自主防災、スポーツ振興など多岐にわたります。こうした活動は、ここの団体がそれぞれ行っているというのが本来だと思いますが、ここでは、それらを一つのNPO法人が行っているのです。

また、特質すべきは、このきらりよしじまネットワークには、地区住民2,900名全員が加入しているという点です。もちろん子供からお年寄りまですべての地区住民です。

もともとは、さまざまな会合が乱立し、その役員も重複しているという現状がありました。そして、各会への会費負担もありその会費も余剰金が出てくるという無駄があったそうです。

そうした無駄を是正することから始めたのが、このきらりよしじまネットワークなのです。

この川西町の吉島地区には、30年以上も前から社会教育振興を中心としたボランティア活動がありました。それが、会員制になり、組織的になっていき、他の組織も巻き込む形でこのネットワークが誕生したそうです。

こうした活動は、山形県からも評価され、「2007年 やまがた公益大賞」を受賞しています。

ただし、ここまでの道のりは、決して楽なものではなかったと思います。住民全戸参加という異例のNPOを作るまでには、地域住民からの反対もあったでしょうし、その意義を明確に伝えることも必要だったでしょう。それには、地道に話し合っていくしか方法はないのですから。

しかし、そうしてしっかりと説明してこれたからこそ、自発的な地域という土壌ができたのだと思います。

自律参加型の町づくりにおいて、行政や国が何ができるのか?という地域住民のためという発想ではなく、住民と一緒に何ができるのか?という参加意識の向上があってこそ、初めて実現できることなのだと思います。

また、2,3年前からは、それまでの会費運営だけではなく、収益を上がられるような事業いわゆるビジネスにも積極的に取り組んでいます。そこで上がった収益金は、住民に還元されるという、まさにコミュニティビジネスそのものが行われているのです。

まさにこれこそ、「共有の経済学」のケーススタディとしては、最良のものです。

しかし、こうしたモデルケースは、さまざまな条件がそろわなければ、実現するのは難しいと思います。やっている内容は、すごいけど、じゃ自分のところだったどうするの?

ここで、ポイントを3つにまとめてみました。

  1. 強い想いをもった人材
    一番重要なのは、こうした活動を行える人材です。ただし、どんな人でもいいわけではありません。強い想いをもった人が必要です。これは、町づくりに限らず、起業においても同じですし、何か新しいことを始めようとする時、こうした強い想いがなければ、立ち上げることすらままなりません。しかも、そうした人が3人ほど集まれば、自然と形になっていくでしょう。
  2. 住民全体の危機意識
    実は、川西町の財政危機という話が平成17年ごろありました。このことによって、地域住民たちは、行政破綻という危機意識をもったのです。そして、行政に頼ったそれまでの考え方を転換させざるを得ない状況になったわけです。
  3. 小学校区という単位
    地域の単位において小学校区というのは、意味があります。小学生が徒歩で登校できる範囲に決められているため、都市、農村を問わず徒歩圏域なのです。徒歩で行き来できるということは、いつでもすぐに顔があわせられるという範囲でもあるのです。

すべての地方自治にとって最良の方法かといわれると、賛否はあるかと思います。

しかし、こうした形の自律的な町づくりは、地方財政にとっても大きな手助けになることはもちろん、現在すでに破たんしかかっている自治体では、ひとつの選択肢として考えることも必要なのではないでしょうか。

 

多謝
山形県川西町 きらりよしじまネットワーク
山形市市民活動支援センター