2つの戦略

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最近、コンサルティング脳を少し鍛えておかなければならないような案件があるため、戦略について久しぶりにいろいろと調べていました。

法則や方法論などはたくさんありますが、適したものであるかは別です。

私が考える戦略の中で最も重要なのは「テンポとタイミング」です。

適した時に適した場所で適した人たちに適したものをテンポ良く与える。

一言でいえば、こんな感じなります。

適したときというのは、会社の規模の大きさや財務状況などです。適した場所というのは、いわゆるエリア(地域)です。適した人たちというのは、年齢や性別によって異なります。適したものとは、商品やサービスのことを指しています。

この考え方の原点は、以前小売業に携わっていた時に、某有名百貨店のフロアマネージャー(今はバイヤーをしていると聞きました)人から教えてもらった「なぜなぜマーケティング」というものがあります。

簡単にいえば、徹底的に、売れる理由を考えつくすということなのですが、5W1Hのフレームワークに当てはめるとかなり的確に見えてくるのです。そして、上記のような考え方が生まれました。

すでに存在している優良な戦略も、このテンポとタイミングを外すとまったく無意味になってしまうことがあります。

とくにそれは、ランチェスター戦略における弱者と強者の考え方が当てはまります。

企業規模が大きければ強者と言え、小さければ弱者と言えるのでれば、問題はそれほど複雑ではないかもしれませんが、実際はより複雑です。

規模が小さくても、強者の戦略を取らなければならない場合もありますし、逆に規模が大きくても強者の戦略を取らなければならない場合もあります。

なぜそうしたことが必要かというと、イノベーションのジレンマという問題がそこには存在するからです。

ハーバード・ビジネス・スクールの教授であるクレイトン・クリステンセンのベストセラー著書『イノベーションのジレンマ』(翔泳社刊)の中において、常に高品質の製品やサービスを提供し、優良な経営を行なっている業界トップの優良企業が、破壊的イノベーションを前にしてトップの座を受け渡してしまうのは何故かという謎を解明したことによって、優良企業でも弱者の戦略を必要とする場面が存在することが明らかになったのです。

特に、ランチェスター戦略は、軍事戦略をマーケティングに落とし込んだものですので、ビジネスにおいては、弱者と強者という区分がまったく安定的なものではないのです。戦場においてなら戦況は相手との力関係に左右されることが多いでしょうが、ビジネスにおいては戦いの場である市場自体が変化してしまうからです。自社が参入する市場そのものが突然縮小してしまえば、それまでどんなに市場における強者として君臨していた企業でも途端に弱者となってしまいます。

以上のことを踏まえて、弱者と強者の基本戦略を見てみます。

弱者の基本戦略
差別化戦略

  1. スキマ市場を狙う
  2. 競合の少ない市場を狙う
  3. 直接的コミュニケーション(接客・営業)で戦う
  4. ターゲットを決めて重点化する
  5. 奥の手は必ず持つ。奥の手がばれたらさらに奥の手を持つ

 

強者の基本戦略
成功モデルをただちに追随するミート戦略

  1. 大きな市場を狙う
  2. 既存市場でのシェアを拡大する
  3. 間接コミュニケーション(広告)を利用して戦う
  4. 確立を重点化する
  5. すべてのものを総動員して戦う

上記の戦略が最適に作用したとき、初めて戦略として価値もあるのではないでしょうか。

それを見極める上で最も重要なのは市場分析だと私は考えています。

 

参考文献:

小さな会社・儲けのルール—ランチェスター経営7つの成功戦略 (単行本)

小さな会社★集客のルール ランチェスター経営 ホームページ成功戦略 (単行本)

小さな会社★NO.1のルール ランチェスター経営1位作りの成功戦略 (単行本)

ランチェスター弱者必勝の戦略—強者に勝つ15の原則 (サンマーク文庫)

ランチェスター法則のすごさ—今よみがえる必勝の戦略

イノベーションのジレンマ—技術革新が巨大企業を滅ぼすとき (Harvard business school press)

イノベーションのジレンマ—技術革新が巨大企業を滅ぼすとき

Goolgeでランチェスターを検索2008.03.08