知的生産性

日本人は、ホワイトカラーの仕事が下手糞だと言われています。
それは、マネジメントにも通じる部分だとは思うのですが、どうすればホワイトカラーとしての生産性である、知的生産性を上がるのでしょうか?

私も、インターネットの仕事ということでホームページの制作など行っていますが、生産性自体はとても低いと思います。作るという仕事は結局、労働集約的になり一人当たりの時間単価は低くなってしまいます。

まず、この時間単価という考え方をもたなければ、知的生産性は上がらないのではないかと思います。

知的生産性の時間単価は、売上で考えるのではなく、粗利額で考えます。1時間あたりの粗利額がどれくらかによって知的生産というものがはかれます。

たとえば、ある人の月間売上100万円だとして、粗利率50%とします。
この人は、粗利50万円ですが、たとえば1日8時間労働だとして20日間/月という労働時間で割ると、労働生産性というものが見てきます。

50万円÷(8時間×20日間)= 3,125円/時

この人の労働生産性は、3,125円/時となります。

ここで、少し会社に目をむけます。
会社の固定費で最も大きいものは、人件費です。この人件費を減らせば、会社に残るお金も残るわけです。業種にもよりますが、理想としては人件費率30%だと言われています。
自分の給与を手取り20万円だとすれば、その約3倍の粗利が必要というわけです。
よって、粗利で70万円ぐらいは必要だということです。

逆に、粗利で100万円稼げているのであれば、もっと給与を上げてくれと言ってもいいわけですが。

この一人当たりの労働生産性を上げるには、売上を上げるか粗利率を上げればいいわけですが、実質の仕事量を考えたとき、どちらがいいのか?という問題もあります。

粗利率は同じで売上を上げようとした場合、実質の仕事量も増えるわけです。
その場合、仕事が増えれば仕事をする時間も延びます。そうすると結局は、労働生産性は下がってしまいます。

そうではなくて、粗利率を上げることをベースに考えるとどうでしょうか?
同じ売上100万円だとしても粗利率50%と粗利率90%では、それだけで労働生産性は違ってきます。
逆に月額30万円ほしいと思えば、一人当たり100万円の粗利を稼げればいいわけです。

しかし、会社では、生産部門と非生産部門というものがあり、そのすべての人たちがそろって初めて組織は機能するわけです。
非生産部門の人たちの人件費も含めて考えるならば、一人当たりの労働生産性というものも変わってきます。非生産部門の最たるものは事務や経理です。しかし、その人たちがいないと、わずらわしいことも含めてすべての業務をこなさなければなりません。
完全な営業会社であれば、非生産部門の人はいません。いても全体の10%を超えることはないでしょう。(そう考えると、結構、事務や経理も楽じゃないわけですが)

ある会社では、こうした非生産部門をすべてアウトソーシングしてしまい、社員全員が営業ということもあります。

極端な話ですが、粗利50万円の仕事で営業(給与20万円/月)と事務(給与20万円/月)の2人で業務を行っている…というのは、諸経費分赤字になりますし、人件費率は80%以上を超えます。ちなみに、人件費率70%で会社は立ち行かなくなります。

ここまでのことを踏まえて、どれくらいの労働生産性があるといいのか?という疑問を持たれるかもしれません。
その答えは、あなた自身が持っています。自分自身がどれくらいの給与を得たいのか?今の給与で満足ならば、それ以上の労働生産性を望むことはないでしょう。
しかし、より給与水準を上げたいと考えるのであれば、自分の労働生産性がどれくらいあれば、給与水準の底上げが行われるのかが、おのずとわかってくると思います。

労働生産性=(希望する給与額×人件費率×10)÷(1日の平均労働時間×1か月あたりの勤務日数)

私の実感として、一人当たりの労働生産性が5,000円/時を超えていないと、儲かっている実感が持てません。

数字だけを追うならば、平均労働時間を増やしたり、1カ月あたりの勤務日数を増やしたりすれば、売り上げと利益は短期的に上がるかもしれません。しかし、働く人たちのモチベーションは下がる一方です。モチベーションが下がるとどうなるのか?
結局は生産性を低下させ、悪循環へと陥ってしまい、実際は売上・利益は上がらないという結果を導き出してしまいます。
そして、モチベーションが0になった時、その人は、その仕事を離れてしまいます。要するにやめるということです。中には、モチベーションがまったくなくても仕事し続ける人はいますが、そうした人の仕事は、ややもすると会社に損害を与えかねないということを肝に銘じておくべきです。

私が以前、人材業に携わっていた時、優秀な人材といわれる人たちに共通して言えることは、仕事に対して非常に高いモチベーションを持っていたということです。高いモチベーションをもっている人と、持っていない人との生産性は明らかに違いました。
しかも、そうした人たちは明確な目標を持っていました。それは、いまより高い収入を得たいというものです。そうした気持ちが強い人ほど、より高い生産性を生みます。
それは、営業職、技術職など職種は関係なく、その気持ち(明確な収入目標)を持って仕事をすることが、生産性を上げる結果につながります。