ジェネレーションY(generation Y)と暗黒の10年

ジェネレーションYという言葉を初めて知ったのが、私がまだ大学生の頃でした。学校で習ったわけではなく、誰かが言っていたのを聞いて知ったのです。

大まかな区分で1977年から1997年の間に生まれた7,000万人から8,000万人の世代を指し、米国人口の21%から30%を占め、そのピーク時にはベビーブーマー(BB)を追い越す勢力と言われています。

彼らの特徴は、非常にポジティブで、前の世代のGen Xが「Disillusioned(幻滅した)」、「Rebellious(反抗的な)」、「Pessimistic(悲観的な)」と言ったネガティブな言葉で表現されたのとは違って、親の世代のBBが持っていた前向きな価値観を保持しています。 

Gen Yの属性を表す言葉 日本語訳
Optimistic 楽天的な
Idealistic 理想的な
Empowered 能力のある
Ambitious 野心のある
Confident 自信のある
Committed 約束を守る
Passionate 情熱的な
Traditional 伝統的な

Gen Yは特にアメリカの事として、話されますが、日本にも全く同じ事は言えます。それは、こうした特徴には、社会的背景が大いにあるからです。

特に、日本の場合、戦後のめまぐるしい経済復興のおかげで生活や豊かになり、娯楽品への関心が高まり、そして供給が始まったころです。すでにテレビがほぼ全世帯にあったわけです。

そして経済も安定し、将来に対する期待感が高かった時代でもあります。

社会が楽観的だったとも言えます。そんな時代に幼少期を経た人達ですから、ポジティブなのかもしれません。

また、BBの価値観と言われる部分に関して代表的だと思われるのは、学歴に起因するヒエラルキーがあります。小さい頃から、いい学校に行って、いい大学を出て、一流企業と呼ばれる会社に就職すれば誰もが幸せになれると言う価値観です。

しかし、これは日本では既に崩壊してしまいました。そのヒエラルキーの崩壊がもたらしたものが、フリーターであり、ニートという社会現象です。高度成長期を経てバブルが崩壊した後に待っていたのは、暗黒の10年と呼ばれる時代でした。

そして、それと同時に、それまで親が正しいと言ってきた事自体も崩壊してしまったのです。だから、親の言う事を聞いても幸せになれない。しかし、自分では幸せが何なのかもわからないという人たちが増えてしまったのです。親が指し示す価値観が自分の幸せの土台にはなり得ない事に誰もが気がついたのです。

正直、将来や未来に絶望している人も多い事でしょう。絶望したら普通死にたくなるみたいです。

フランスの哲学者キルケゴールも、「死にいたる病」のなかでそんな話をしています。(詳しくはGoogleで)

ちなみに、面接試験を20回落ちて自殺した女子大生の話などもあったぐらいです。

Gen Yの持つポジティブさと自己防衛本能から、就職活動をしないという選択肢が生まれ、そしてそれがフリーターやニートへと発展していったのは自明の理であります。

しかもフリーターやニートは年々増え続けているといいますが、そろそろ頭打ちになるのではないかと考えられます。それは、団塊の世代の退職は2007年から始まっているからです。既に大企業を中心に大規模な採用活動を行っているところも多く、2,3年前から採用は売り手市場へになっています。

日本の大企業を中心とした社会が、ニートやフリーターを生み出したといっても過言ではありませんが、これからの10年、彼らはその代償を支払わなければならないところにきているのも事実です。

そうした事をふまえると、コーポレートガバナンスの観点から、ますます企業統合やM&Aが盛んに行われるのではないかと考えられます。