社会学の対象

 研究対象は、人間行動行為)や相互作用、役割、集団や組織研究、家族、コミュニティ、より大規模な社会構造社会変動な どである。研究分野の一つは秩序問題、つまり社会秩序や、何らかの社会への協力行動と関連する研究である。治安や犯罪、逸脱行動、社会統合、利他的行動、 向社会的行動、環境配慮行動研究、社会的ジレンマ研究などもこれに含まれると考えてよい。この研究分野は社会心理学や小集団実験と関連する研究も多い。日 本においてはこれまで社会の分裂や治安が問題になることは少なかったが、近年ではやや注目されている。数理社会学合理的選択理論により、この研究に取り組むこともある。

 他の研究分野として、様々な社会構造やその時代的変化、すなわち社会変動の研究がある。もともとマルクス主義社 会学では資本主義社会から革命を経て共産主義社会が実現することを、主要な社会変動として想定していた。しかし多くの先進諸国ではそのようなことは起きな かった。ベルリンの壁崩壊や共産主義各国の経済低迷、政治腐敗のためマルクス主義的な研究は沈滞していると言わざるをえない。高度経済成長期以降の日本の社会学では、産業化、都市化、高学歴化という社会変動を扱うことが多い。その他、最近では、大衆化、少子化、高齢化、情報化など、個別具体的な社会変動を研究することが多い。 社会システム論は、社会構造社会変動を理論的にとらえるためのものだが、抽象的議論が多く現実の社会を分析するためにはあまり役に立たないため、誇大理論と批判されることも多い。経済システム政治システムの研究に比べ遅れていると言わざるを得ない。構造機能主義のような研究も最近では盛んではない。むしろ、情報化や科学技術が社会にどのような影響を与えるかについての個別具体的な研究、たとえば遺伝子組み換え技術や電子マネーインターネット、文化産業などが社会に与える影響が注目されている。

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ラベル: 社会学基本講義