歴史
社会学の歴史は、様々な形で記述することができるが、通常次のようなものが含まれる。
1)ヨーロッパにおける先駆的な思想、研究
上述のコントの思想は、その師であるサン・シモンに遡る。一方、コントの方法はジョン・スチュアート・ミル、ハーバート・スペンサー、カール・マルクスなどに受け継がれ、それぞれ独自に社会についての包括的な把握が試みられた。
2)ヨーロッパにおける著名な社会学者の台頭
19世紀末から20世紀にかけて、マックス・ウェーバー、エミール・デュルケーム、ヴィルフレド・パレート、ゲオルグ・ジンメルらが相次いで研究著作を発表した。その方法論、キー概念などがその後の社会学に受け継がれることになる。
3)シカゴ学派の誕生
20世紀初頭まではヨーロッパが社会学の主流を成していたが,第一次世界大戦後にはアメリカにおいて顕著な展開を見せ,やがて社会学研究の中心として発展を遂げていくことになった。
アメリカ社会学が,社会学研究の中心的地位を築き上げる背景には,19世紀末から20世紀初頭にかけての急激な経済・社会の変化があった。南北戦争から第一次世界大戦へ至る半世紀の間にアメリカ産業は急ピッチな発展を遂げ,それに伴って都市化が進行し,民衆の生活様式も大きく変わっていった。このような大きく変貌を遂げるアメリカ社会の実態を捉えることが,社会学の課題として要請されるようになっていったのである。
当初アメリカの社会学は,1893年に創設されたシカゴ大学を中心に,人種・移民をめぐる問題,犯罪,非行,労働問題,地域的コミュニティの変貌などの現象的な側面を実証的に解明する社会心理学や都市社会学が興隆していった。アルビオン・スモール,ウィリアム・トマス,ジョージ・ハーバード・ミード,ロバート・パーク,アーネスト・バージェス,ルイス・ワースら,有能な研究者たちの活躍によって,1920~30年代にシカゴ大学は,アメリカの学会において強い影響力を及ぼすようになり,シカゴ学派と呼ばれる有力な研究者グループを形成するまでになった。
ヨーロッパの社会学は観念的・方法論的側面を重視する傾向が強かったが,アメリカ社会学は現実の問題を解決する方向性を示すという実践的側面が強い。それは,有用性を重視するプラグマティズムの精神的な伝統によるところが大きく,また,前述のような社会的要請もあって,地域社会や家族などの具体的な対象を研究する個別科学としての傾向を持つようになった。
ラベル: 社会学基本講義
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