情報格差

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情報格差に関する問題は、1990年より徐々に進行してきました。はじめのうちは、パソコンを持つものと、持たざるものから始まり、インターネットを利用するものと、利用しないものへと発展してきています。

前回のu-Japan政策についての記事でも情報格差の拡大に対する懸念を、書きましたが、事態はより深刻な状況へと発展しているのではないかと、仕事を通じて実感しています。

インターネットの普及率が上がる一方で、利用していない人は既に情報格差が生じている訳ですが、企業内(特にホワイトカラー)においては、仕事でパソコンを使わないことは、まず考えられません。ホワイトカラーにとってのPCはもはやなくてはならない商売道具です。

現在、山形県内でインターネットに関する仕事をしていますが、まだまだ認識が追いついていないことと、情報の格差についてかなり都市部と開きが出てきてしまっていることを感じます。個々人のリテラシーについては、さほど変わりはないのかもしれませんが、企業体としてはかなりまずい状況だと思います。

情報化によって重要となる能力をベースに考えてみると、

  1. 状況関連機器を使いこなす能力
  2. 収集した情報を整理・分析する能力
  3. ソフトウェア・アプリケーション等を使いこなす能力

この3つが、一般社員を含め最も重要と考えられます。
それに加え、部長クラスに求められるものとして、

  1. 週種した情報に基づく迅速な判断力
  2. プレゼンテーション能力
  3. 整理・分析したものを基に新たな企画を生み出す能力

というものが必要となってきます。この6つに、情報を収集する能力を加えて情報化によって重要となる能力のダイヤグラムが完成する訳です。

これらの能力自体は、慣れや経験によって上げられる場合もあるでしょうが、考え方自体を変化させなければ、まず大きな能力向上はあり得ないと思います。
その変化に対して敏感に対応できる若い世代のうちはよいのですが、年齢を経るにつれて変化に対する恐れが生まれ、それに追随するどころか変化そのものを遠ざけてしまうケースもあります。

昨年1年間で、50サイトに近いホームページを所属事業部が製作してきましたが、営業面においては規模の大小含め、その20倍以上の企業に対してアプローチをとっています。
そのほとんどは、インターネットに関する認識すら全くなく、「自社には関係のないもの」としてあしらわれるケースがほとんどでした。

また、社長と社員の間でも認識に差が生まれてしまっているケースや、社長の持つ情報処理能力と社員のものに対して差が生まれているケースも、ありました。

そうした経験から、情報を提供する以前に、情報に対する認識を深めることが重要なのではないかと思います。これは、能力向上以前の問題として既に現実の中に存在しています。

山形県は、第2次産業の比率が最も多く全国で11番目なのに対し、サービス業は全国で46番目とかなり少ない割合となっています。サービス業関係とインターネットの親和性は非常に高いですが、それ以外の分野にはあまり必要ないといわれれば、そうなのかもしれません。
ただ、ものを作れば売れるという時代は既に終わっている現状において、そんな認識では時代の流れに取り残されてしまうのも事実です。

情報に対する認識の差を、都道府県別に取ったデータを持っている訳ではありませんが、多分首都圏以外の県については、ほぼ同じようなことがいえるのではないでしょうか。
また、産業比率に大きく関わってくるかもしれませんが、少なくとも山形県とさほど産業比率に開きがない県では、同様のことがいえると思います。
(産業比率については国でとった統計データが存在します)

こうした認識の差もさることながら、リテラシーの差は今後より企業に対して大きな問題として浮上してくるのではないでしょうか。
最も大きな理由としては、u-Japan政策があげられます。国策として進めていく方針が、より大きな情報格差を生み出すことは必至ですし、既に地方格差として徐々に見え始めています。
e-Japan戦略の結果を見れば、国策としてu-Japan戦略が推進されていく状況が、何となく予測されることでしょう。マスコミは、これを大きな問題として取り上げずに、内閣の支持率ばかりを追っています。その情報だけを持つ人と、それ以外の情報を持つ人との間でも既に、格差はおこっている訳です。

u-Japan政策の中で大きな柱として

  1. ユビキタスネットワーク整備
  2. ICT利用活用の高度化
  3. 利用環境整備

の3つを2010年までに達成していくと政策パッケージの中で語っています。その中を細かくみていくと、ICT人材活用の中にリテラシー・教育改革という項目がありました。
しかし、これからの人材(若手)についての教育だけで、企業内での研修その他に関しての政策はないようです。国として若い人材の育成は必要ですが、それを採用するかどうかを決定する体制側に準備がなければ、意味がないような気がします。