PLAYSTATION3

日本では11月11日に、北米では11月17日に発売されたプレーステーション3。どんなにすごいゲーム機なのか?ちょっと気になっていろいろと調べてみました。

まずは、今回から採用されたCBE(Cell Broadband Engine™)について。

SCEI、ソニー、東芝、IBMによって共同開発されたこの新種のコアプロセッサですが、マルチコアCPUということで、1つのCPUの中に9個のプロセッサコアを持っています。Intelのデュアルコアなんてこれに比べたらまだまだ小さい。というより、乗せすぎなのでは?と思ってしまうほど満載です。もちろん精度は現行のどのCPUよりも早いです。ただし、物理演算シミュレーション動画音声処理などにおいては・・・。というのも、このCPUは一般的なPCに搭載されているCPUとは根本的な考え方から違っており、マルチメディア用途に特化したつくりになっているからです。ちなみに、複雑な条件分岐を伴う整数演算能力は普通のCPUよりも精度は劣ります。簡単に言えば、3Dとかゲームは得意ですが、ワードやエクセルはあまり得意じゃないということです。
ただし、研究機関で行われているシュミレーションなどはすこぶる得意なのです。
その高性能さを見込まれて、スタンフォード大学ではがんやアルツハイマー病の新薬研究(人間のたんぱく質構造の解析)に活用すると言われています。(2006年11月17日:日経新聞朝刊11面記事より)
国内外のPS3所有者がインターネットに接続すれば、同大学の研究に参加できるということで、
SETI@homeみたいな感じです。ただ、ネットにつないでさえいれば、ゲームをしていない時間でも端末が自動的に解析作業を行うようなので、スタンバイ状態でも動作するということなのかもしれません。
この試みはゲーム機としては初で、本格対応するのはPS3が初めてです。
ちなみに、Cellは毎秒2,180億回の計算が可能で高性能パソコンより約20倍速いと言われています。
また、「SCEは将来、PS3の能力を生かして自動車設計などの事業展開を狙う」と日経にはありました。

どれくらい高性能かわかったところで、気になるのがそのお値段。
内蔵HDD20GB版 販売価格49980円(税込)。(ちなみに、北米では20GB版499ドル、60GB版599ドル)もともと内蔵HDD20GB版の価格を62790円(税込)だったのですが、9月22日に急遽49980円(税込)に変更を発表したことは記憶に新しいです。
そもそも、なぜはじめ6万円を越す価格設定にしていたのか?そしてなぜ、発売直前に2万円も価格を下げたのか?それには、どうやら製造コストの問題が絡んでいるようです。

どうやら、20Gバイトモデルは製造費および原材料費として805.85ドルかかっているという話で、ゲーム機だけで1台当たり306.85ドルの赤字が出ているという話があります。60Gバイトのハードドライブを搭載するバージョンは、製造費および材料費に840.35ドルかかり、こちらは599ドルで販売されているので、費用が小売価格を241.35ドル上回っているわけです。
ただし、当初の価格設定でも赤字ではあったわけなので、下げればもっと赤字になることは明白。それでも価格を下げざるを得なかったのは、NintendoのWiiとMicrosftのXbox360が年頭にあったと思われます。しかし、なぜそれでもリリースするのかというと、ちゃんと採算が取れる見込みがあるからリリースするわけです。
一般的にコンソールメーカーは、自社のゲーム機を原価より低い価格で販売する。ゲーム機のコストを一部負担する代わりに、ゲームソフトに割増料金を上乗せし、その販売によって利益を得る仕組みを採用しているというのです。
ソフトが売れれば、それだけ儲かるという仕組みがあるのである程度の赤字は覚悟の上なのかもしれません。それにしても、300ドル以上もコストが上乗せされているのに、本当に大丈夫なのでしょうか?これも、実は生産効率の向上によって解消できる問題だったりします。
これはコンピュータの業界では一般的な話で、ムーアの法則とも呼ばれていたりします。
この法則を元に予測すると、3年後に製造コストは320ドルまで落とすことが可能だという話もあります。
3年目でようやく儲かる仕組みなのです。
そもそも、ゲーム機は単体ではただの箱でしかありません。コンテンツ(ゲーム)の充実が図れなければ、消えていく運命なのです。
ただ、SCEはこれまでゲーム機においては成功してきました。その理由のひとつに、ファイナルファンタジーがあると思われます。初期のプレーステーションが爆発的に売れたのはちょうど、ファイナルファンタジー7が発売されたころでした。ファイナルファンタジーはこれまで、さまざまなハードでリリースされてきましたが、必ずヒットを飛ばすキラーコンテンツとして、重宝されてきています。以前、マルコ式で掲載したNintendoDSも同じ理由だと考えていますし、今後リリースされるであろうファイナルファンタジーも必ず、PS3をハードに選ぶと思います。というのも、ファイナルファンタジーとPS3の相性が良いのは、先んじてリリースされたコンテンツを見れば、一目瞭然。(サンプルとしてヘブンリー・ゲートのムービーをご覧ください)
クオリティーにこだわるスクウェア・エニックスが、この超高性能マシンを見逃さないわけがありません。

もしかすると、水面下ではすでに何らかの動きがあるのかもしれませんね。

ゲーム機の目的はゲームをすることというのは、当たり前の話ですが、その主な目的以外でも、活用できるようにどんどん進化し続けているのも事実です。
エンターテイメントとマルチメディアは、パソコンを使用せずともゲーム機ひとつで事足りる時代になってきました。これは、ビル・ゲイツ氏がもっとも危惧していたことなのかもしれません。