若者はなぜ3年で辞めるのか?

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企業文化にもよるのでしょうが、3年以内の離職率が多いという統計データは、3年前ぐらいからすでにありました。
自分も含めた、アラウンド30世代は、就職氷河期(1997~2002)を経験してきています。特に、いい意味でも悪い意味でも注目されている世代といえます。
この世代は、高校時代にルーズソックスやポケベル、PHS、プリクラと言った女子高生ムーブメントを起こした世代としても注目されていますが、それ以上にフリーター、ニートという問題の多くもこの世代以降起こったといえます。

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来

という、本が出版されていたので、早速買って読んでみました。人事として書かれた本ですが、社会全体のシステムに問題があるという結論に行き着いてしまっていたのが残念です。
年功序列制度という人事制度が崩壊してからというもの、形ばかりの成果主義によって若者の労働力が搾取されているというのが筆者の見解のようですが、それを言ってしまうと、おしまいです。
私は、ちょうど2002年に大学を卒業し、就職したわけですが、ちょうど就職氷河期末期だったわけです。
一流ではないが、割と知名度の高い大学だったためなんとか就職することができたというのが本音です。自分の周りはほとんど就職できていましたが、そのほとんどは公務員か農協(団体職員)。学科自体もそういった分野に強い学科だったことも影響しているとは思いますが。
私自身も就職活動には難航していました。今でこそ、営業として泥臭い仕事も何でもこなせますが、学生時代は、そうした仕事ではなく、SEになりたいと考えていました。というのも、そのころちょうどITバブル~崩壊までの真っただ中で、一攫千金という感覚が非常に魅力的でした。
今考えると、何も知らないというのは怖いものです。
別に営業として入り込むことができるのであれば、それでも良かったのでしょうが、営業という仕事自体にいいイメージがなく、スマートではないと思っていたのです。(実際はそんなことはありませんが)
ともあれ、今、こうして仕事をしているわけですが、確かに、学生時代~入社1年目ぐらいまでは、本書で書かれている内容通りのことを強く考えていました。
だって、自分たちの時期だけ、会社から閉め出しをくらっているわけですから。
就職活動時期にエントリーシートの記入や、面接時に聞かれたことは、「何ができるの?」ということでした。「うちは、即戦力しかいらない・・・」「3年以上経験がないと使えない」という話もよく聞かされました。
そんな、学生に向かって何ができるのか?なんていうのはご法度ではないでしょうか。何もできないことが最大の売りなわけですから。
ただ、実際に学生時代からすでに何らかの取り組みを行って、実績を付けている学生も中にはいました。それを可能にしたのがインターンシップという制度でした。私自身も大学4年の夏からインターンシップをし、そのまま入社した口でしたが、そのころから、学生の間ではかなり注目されるようになってきたのです。
「会社が即戦力を求めている」という神話が学生たちの間でささやき始められると、応募が殺到し、大手企業でもその動きは年々拡大しています。たぶん、今ほとんどの大手企業でこの制度を導入しているのではないでしょうか。
前の会社にいたころによく言われたのは、「自分が学生のころよりも、今の学生のほうが優秀」ということです。確かに仕事に対するモチベーションも高く、がむしゃらに何でもやる姿勢は、年功序列の制度に即した最も日本型企業にとって受け入れやすい形式であることは間違いありません。ただし、会社の業務的な負担や費用的な負担等を考えるとなかなか導入までに至っていない中堅企業は多いようです。

若者はなぜ3年で辞めるのか? 年功序列が奪う日本の未来

まだ、3年いればいいほうで、3年以内に辞めるもしくは、そもそも就職しない、できない。ということのほうが問題です。3年いれば、中途扱いになるので転職は割としやすくなります。(これは、実体験ですが)本書で書かれている内容は、まさに自分の世代の話になるわけですが、私自身はそれほど社会や会社に対して悲観的なイメージはありません。社会も、会社も何もしてくれないという前提のものに自分自身のために仕事をするというスタンスをとれば、場所はどこでもどんな仕事でもプラスになりますし、キャリアパスは自分で作ればいいわけです。自己責任という考え方を持っていないと、これは難しいかもしれませんが…
「好景気を知らない世代」と言われ、それが当たり前になってしまっているのは、バブルを経験してしまった諸先輩方に比べれば、まだましのほうかもしれません。