ロングテイル現象

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「2:8の法則」という言葉は、みなさんもお聞きになったことがあると思います。

これは、「パレートの法則」ともいい、イタリアのパレートという経済学者が19世紀のイギリスにおける所得と資産分布を調査したところ、20%の富裕層にイギリス全体の資産総額の80%が集中し、この現象は継続して繰返されることを発見した法則のことです。

これは資産分配の例だけでなく、例えば「働きアリの20%はあまり働いておらず、その20%のアリを巣から除くとまた新たな20%のアリが怠け者アリになる」「トップ20%の営業マンが売上げの80%を上げる」「10項目の品質向上リストのうち上位2項目を改善すれば80%の効果がある」など、さまざまな分野で使われます。

これを Web マーケティングの分野に応用し仮説を立ててみると、
 ・2割のサイト訪問者が総訪問者のうち、8割のアクセスを占めている。
 ・Web 広告宣伝費の2割が、全体の8割の効果をあげている。
などがあげられるでしょう。

いずれにしても上位2割の項目に資源を注力することが大切なのである。

つまり、
 ・上位2割の顧客層に絞ってプロモーションをかける。
 ・費用対効果が高い上位2割の広告に資源を集中する。

しかし、インターネットの世界では、必ずしここの法則が当てはまるとは限らないということをロングテール現象は語っています。
もっとも事例としてよく挙げられるケースとしては、アップル社の音楽ダウンロードサービスとアマゾンドットコムです。
特に、アマゾンでは早い段階よりこの現象が起こっており、様々な事例研究などもされているようです。
ロングテール(Long Tail)とは「長い尾」という意味です。
先に述べたパレートの法則と合わせて考えると、2割の商品が8割の利益を生み出しますが、それ以外の8割の商品も2割の利益を生み出しているという構造です。それを、体高十メートル以上で一キロメートル以上のロングテールを持った恐竜。それを横から見たシルエットのようなので、この名前がついたとされています。

アマゾンの例を参考までにご覧ください。

~以下引用~
米国のアマゾン・コムの本の売上げの半分以上が、販売部数ランキングの四万位から二百三十万位までのロングテールから上がっているようなのである(外部の 研究者による推定)。高さ一ミリ以下で十キロ近く続くグラフ上のロングテールを積分すると、まさに「塵も積もれば山」、売れる本の販売量を凌駕してしまう のだ。リアル書店では在庫を持てない「売れない本」でも、インターネット上にリスティングする追加コストはほぼゼロだから、アマゾンは二百三十万点もの書 籍を取り扱うことができる。しかも「売れない本」には価格競争がないから利幅も大きい(米国では新刊書にも値引き競争がある)と良い事ずくめになる。これ がロングテール現象である。

梅田 望夫

これまでは、利益を生む2割の商品以外は商品価値があまり見取られていませんでしたが、インターネットの世界では、こうした8割の商品にも十分商品としての価値があるということがいえます。
インターネットは、店舗販売と違いすべてがカタログ販売ですので、現物を触って購入するという売り方は出来ません。しかし、商品をサービスの一つとして提案する売り方は可能なのです。
現在、物販業界でも商品販売ではなく、サービスをうたった売り方をする店舗や業者が徐々に増えてきました。それは、顧客がそれを望んでいるからなのです。
サービスの一環としての商品販売。
今後、こうした販売手法がネットや実店舗問わず主流になっていくことでしょう。

はてなダイアリー – ロングテイルとは