1997.10.2

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毎日、日記をつけていると嫌でも机に向かう。
これは僕にとってはかなり良いことだと思う。

今日、やっとのことでテストも終わり、ひと段落ついた。
しかし、最終目標である大学入試はこれからだ。
明日からは毎日勉強しなければならない。

普段勉強をしない僕にとって、一つの覚悟が必要だ。

決心も固まったところで、・・・明日から頑張ろう・・・。

そういえば、今日学校帰りに友達のカズシにあった。

カズシとは、かなり久しぶりにあう。もう半年ぐらいあっていない。
そう、あの事件以来…。

あまり、思い出したくはないのだが、たぶん、この日記を始めることになったのもこの出来事があったからだと思う。

僕は、半年前ある人と付き合っていた。
彼女とは小、中学校が同じで、一緒に勉強した仲だ。高校に入るまでは、よく知っている二人だった。

でも、高校に入学してからは一度も顔を合わせたことがない。
どこで何をしているのかなどは、お互いに知ることもなかったし、知ろうとも思わなかった。

そんな二人だったが、高校3年の春に偶然再開した。

こんなのは、よくある話だ。

それまで僕の知っている彼女の姿は、幼い頃の活発な印象だけ。異性というよりは仲のいい友達という感覚。
しかし、女性は変わるものだ。自分だけが変わっていないのではないかと不安になるぐらい変わるものだ。

久しぶりに会った彼女には、幼いころの面影を残しつつも女性を感じるだけの十分すぎるほどの魅力があった。
たぶん、今思えば、その一瞬で恋に落ちていたのかもしれない。

その時は、そのまま別れたが、数日たっても彼女の姿がまぶたに浮かぶ。
いてもたってもおられず、自分から家に電話をした。
(同じ中学なので、自宅の電話番号はよく知ってる)

そして、二人で会う約束をし、電話を切った。

何を話したのかなんてどうでもよく、彼女と一緒にいる時間だけが僕にとってすべてだった。
もう、彼女なしでは何もできないような気すらしていた。

その後、何度となく二人で合う回数を重ね、次第にその思いは自分ではとめることができないくらい大きなものになってしまった。

そんなある日、彼女の友人の一人から
「実は、あの子別の人と付き合っているだよね。」
という話を聞いた。

なぜ、その友達がそんなことを言うのか?とも思い、はじめは信じなかった。
彼女も、僕のことを好きなんだろうと信じていた。
しかし、次第に不安にもなってきた。その話が本当だったらどうしようか。。。

わかれるか?

別れられるのか?

本当のことが知りたい欲求と、その話が本当だったろと思う不安。
結局は、彼女には悪いと思いながらも、調べせてもらった。

彼女がほかの男と付き合っているというのは、本当だった。

正直がく然とした。

心の中に風が吹いて、僕をどこかに飛ばし去ってしまった。ショックだった。

泣きたいぐらいかなしいけれど、涙は出なかった。
それから数週間、茫然自失の毎日を送らなければならなかった。

そろそろ、心の整理をつけなければならないと思い始めた矢先に、
彼女の友人から連絡があった。
彼女も今のままだとよくないということは考えていたようで、
「今の彼氏と別れて、僕と付き合いたい。」と相談されたというのである。

しかし、僕の心はすでにブロークンハート。それは周知の事実であり、彼女もそれを知っていた。

だから、いまさら何と言えばいいのかわからないと。。。

彼女への思いを捨てきれずにいた僕にとっては、まさに渡りに舟。
一筋の光が心の中に差し込んだ瞬間だった。

次の日、僕のほうから電話をして「正式」にお付き合いをすることになった。

(たぶん、この時すでに歯車は破滅に向かっていたのかもしれない。そして、僕は純粋すぎた)

人を好きになる喜びと、彼女への愛で、僕の心は満たされていた。それ以上何もいらないというぐらいに。
このままずっと一緒に過ごせたらいいと思った。そして、誰かを愛することがこれほど幸せだったのだと
初めて知った。
僕は、彼女から人を愛することを教わった気がする。

しかし、その幸せも長くは続かなかった。
なぜならお互いに信じ合うことができなくなってしまったからだ。

ことの発端は、どちらにあるのかよくわからないが、お互いに合う回数が減り、会う時間も減っていった。
彼女を誘おうとすると、何かと理由をつけて話をはぐらかし、ほとんど会わないという状況が続いた。

そのころ、よくつるんでいた仲間が3人いた。
一人は誰かも一目置かれ、女の子にもかなりもてたヒデカズ。
もう一人は、いつも陽気なカズシ。
そして、三人目は硬派を絵にかいたようなマコト。

彼らは、僕の彼女のことはよく知っており、何度か会ったりもしているし、一緒に遊んだこともある。
僕の中ではみんな信頼できる仲間だった。

その中の一人、ヒデカズが最近、マコトの様子がおかしいと教えてくれた。
マコトは僕に、「彼女とは別れたほうがいい」とよく言っていた。しかし、僕は正直迷っていた。
彼女のことは好きだし、一緒にもいたい。そんな状態で別れられるのか?

昔見た映画で「最高の愛は犠牲愛だ」というセリフを思い出した。
もし、彼女のために別れることも必要ならば、それは仕方のないことだと思い始めていた。

そんな矢先、ヒデカズがやはりどうもマコトの行動がおかしいというので、
一緒に後をつけることにした。

どうやらマコトは誰かと待ち合わせをしているようだった。
そして、数分後、そこに駆け寄ってきたのは、彼女だった。

その光景を見て、怒り半分、悲しさ半分がこみあげてきて、
僕の心はまるでピカソのゲルニカに酷似していた。

途中、見失いそうになったが、事の真相を確かめるべく、二人を追った。
そして、ちゃんと話をしなければならないと思い、二人に駆け寄った。
その場を見られた二人は、意外と冷静だった。

一体どうなっているのか?
状況を飲み込むまでにかなりの時間がかかった。そして、彼女と話し始めた。

どうやら、僕に対して何らかの不満を抱いているようだった。
それが何なのかまではわからないまま、「私の気持ちも知らないくせに…」
と言い残し、彼
女はその場を去ってしまった。

追う気にはなれなかった。自分自身への不満。
それが何なのか?まるで見当がつかない。まるでその場に根を張ったように
じっとそのことだけを考え続けた。

そのあと、場所を変えてマコトと話をすることにした。
彼が真実を知っている。僕はそう確信した。

遅れていった場所には、カズシとマコトがいた。
そして、事の真相を二人の口から聞くことになる。

それによると、どうやら彼女とヒデカズは
付き合っているらしい。

もう、何を信じればいいのか?だれが本当のことを話しているのか?
まったくわからなくなっていた。むしろ、真相などどうでもよいとさえ思っていた。
何も考えたくないという思いだけが、強くなる一方で、同時に虚無感が体全体を突き抜けていった。

ただ、目の前にある現実だけからは目を背けることはできなかった。
その残酷な現実は、生きる気力も、楽しみも、哀しみもすべて流してしまった。涙の代わりに。

それから数日後、ヒデカズが僕に話があるといい、
河川敷の小さな公園で待ち合わせをした。
すでに日は沈み、街灯の明かりだけがさみしそうに
その場を照らしている。

いまさら何を。。。僕は負けたんだ。。。君に。

ヒデカズは二言、三言、会話を交わしただろうか。
不意に殴りかかってきた。

自分ではどうすることもできなく、何度か殴られている
うちにカズシとマコトが割って入ってきた。
自分自身、もう限界だったんだろう。
その時のことはあまり覚えていない。

しかし、それ以来ヒデカズとは一切口を聞いていない。

結局、何が悪かったのか。誰が悪かったのか。
わからずじまいだったが、今となってはもうどうでもいいことだ。

そんな出来事があってからというもの、その時の仲間とはほとんど
顔すら合わせていなかった。
自分自身、誰とも会いたくない気持ちでいっぱいだったからだ。

でも、今日、カズシとあった。
カズシは元気そうだった。お互いに近況報告をして、別れ際に
いつもどおり腕を二回あげる挨拶をした。

カズシにあえてうれしかった。
なんだか、頑張る気が起きた。

そんなたわいもない出来事だったが、僕にとってはとても長い一日のように
日記も長くなってしまった。

やっぱり毎日が同じ長さだったら、つまらないよ。。。

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