ライフサイクルイノベーション

シャープと液晶テレビの現状

「世界の亀山モデル」ということで一世を風靡したシャープが、存続の瀬戸際に立たされています。

、大手電気8社(日立製作所、パナソニック、東芝、三菱電機、ソニー、シャープ、日本電気、富士通)の一角を担っていましたが、2012年、2013年と合計9,000億円を超える損失を計上しています。

その後、賃金の引き下げや主力金融機関の支援もあり、2014年には、一旦黒字決算にこぎつけたが、2015年にはまた大幅な赤字を計上せざるを得ない状況になっています。

従業員の10%を超える3,000人規模の希望退職者を募集するなどのリストラ策を実施する方針。

引用:「シャープの過ちと日の丸電機メーカーが生き残る道」ダイヤモンドオンライン 真壁昭夫 [信州大学教授]

日本国内では、2003年から地上デジタル放送の開始による買い替えに合わせて普及が進んできていました。

総務省の統計では、2007年の世帯普及率が19.3%だったのに対して、2009年には50.4%、2010年には75.3%と増加していました。2011年7月24日に地上アナログ放送の停波が最大の要因でした。

ちなみに、余談ですが、薄型テレビの方がブラウン管テレビよりも消費電力が低いと言われますが、同サイズであれば、薄型テレビの方が消費電力はたしかに低いのですが、サイズが大きくなればその分電力消費も比例して高くなるため、一概には消費電力が低いとも言えないそうです。

現在の状況は確実に、液晶テレビの販売不振が一番の要因でしょうが、生き残るために、もっと早めに何らかの手を打つことが出来なかったのか?と思ってしまいます。

ライフサイクルイノベーション

lsi.png

ライフサイクル イノベーションという本があります。そこには、成熟市場+コモディティ化に効く14のイノベーションが載っています。

しかし、最も注目したいのは、この図です。

企業の成長の縮図とも言うべきものですが、これを液晶テレビに当てはめて考えてみると非常に現在の状況が見えやすいです。

メインストリートの段階が最も儲かる時期ですが、それを過ぎると終末を迎えます。液晶テレビは衰退期に入っており、書籍の言葉を使えばフェースE:ライフサイクルの終わりに差し掛かっています。

ライフサイクルイノベーションには、アメリカのIT企業の事例が豊富に掲載されており、その事例と合わせて、経営陣が取るべき方向性にも言及しています。

企業買収再生のイノベーション(第7章 衰退市場におけるおノベーションの管理 P232-233)には、

衰退が予期した時よりも早い時期に、または急速なペースで発生し、経営陣が不意打ちされることがよくある。このような場合、自立再生イノベーションの可能性は低くなる。自立再生には助走期間が必要だからだ。このような状況にあるき企業には企業買収再生イノベーションの方が適切だ。

という一節があります。

事例として、GE の取ってきたイノベーションが上げられていますが、企業買収と資産売却を繰り返し、工業関連事業から情報化時代に有利な金融サービスやメディア関連へとポートフォリオを移行してきたそうです。

得るは捨つるにあり

シャープも何もしてなかったかというとそういうわけではなく、次の1手としてソーラーパネル事業を2007年ごろから進め、2010年時期には大阪の堺で太陽電池工場が稼働しています。ちょうど、液晶テレビの需要がピークになった年です。

1988年に14型TFT液晶の試作に成功してからの25年がまさに液晶のシャープの時代だったと行っても過言ではありません。21世紀には壁にかけられるテレビが出るという夢の様な話を現実にしてきた実績は、大きいです。

しかし、このパネル製造という分野が損失を与えている事もまた事実。

思い切って、パネル事業を捨てる(売却)という選択肢も必要かもしれません。捨てることで、新しい何かを得ることもあります。

参考