ケプラー予想の解決は、人間の直感力の正しさの証明でもある

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ケプラー予想とは、球充填(きゅうじゅうてん)問題といわれ、果物屋でオレンジが積まれているのを見て、最も効率よく積み上げるには、どのような幾何学的図形が適してるのか?

という一見すると単純な話にも思える問題です。

1611年にヨハネス・ケプラーが、仮設を立てました、その直感を証明できなかったため、「球体の最も密度の高い詰め方」について問うというケプラー予想が生まれました。

1995年に解決された「フェルマーの最終定理」の後継難問とも言われていた問題です。

世界中の数学者が400年もの時間を費やしても解けなかった問題をコンピューターの数学的証明を利用して今年の8月に解決されました。

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この問題、何気なくピラミッド型に積み上げたほうが効率的に球体を配置できると感覚的には分かるのですが、論理的にそれを証明するとなると、非常に複雑で、様々な可能性と照らし合わせながら全ての可能性を否定して、最後に一つだけ正確な答えを出すという作業になります。

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数学者がいくら考えてもわからなかった問題なので、自分で考えても仕方ありませんが、そもそも既に直感的にピラミッド型が最も効率よく球体を積み上げることが出来ると知っていた果物屋さんについて注目したいです。

おそらく、論理的に証明されていないことの多くには、これに似た問題が数多く含んできるのではないだろうかと思うのです。

それが正しいだろうと感じることが出来たとしても、ほんとうに正しいかどうかを立証できない場合、それを「勘」と言います。

多くの場合、それは経験則の積み重ねから導き出せる一つの答えなのですが、それを数学的に証明することは、ケプラー予想と同様の手順と作業が必要とされるのではないでしょうか?

1日の生活の中で人間は多くの決断を行っています。

たとえば、朝起きる時、既にここから決断が始まっています。

「あと、10分・・・」「あと、5分・・・」

それもひとつの決断です。

しかし、その決断が果たして正しいかどうかを考えるとき、いちいち論理的にものごとを処理しているかというと、そうではありません。

そうして、寝過ごしてしまったという経験則から、「今、起きるべき」という答えを導き出すのです。

おそらく、ケプラーが見たオレンジの山を作った果物屋さんも、オレンジをより多く積み上げるために実際に並べてみて、その中で最も効率的だという答えを直感的に理解していたのです。

ケプラー予想の証明の結果がもたらしたものは、実に様々な意味を含んでいるのではないだろうかと思うのです。

コンピューターの力を証明したという見方もあれば、人間の経験則による直感力の証明という見方もあります。

 

参考: