Googleから学ぶべき10の鉄則

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インターネットビジネスを成功させるための10の法則 で、Googleが発見した真実について書きました。

その真実を一つずつ考えてみると、いろんな事が見えてきます。

1. ユーザーに焦点を絞れば、「結果」は自然に付いてくる。

ユーザーにだけ焦点を絞る事は、限りなく我慢のいる事です。この手のビジネスモデルは大抵の場合、投資や融資を受けて行われる事がほとんどですが、お金を出している以上、いつ回収できるのか?という質問を常に突きつけられます。ある会社が自己資金だけで行う場合でも、社長から担当者に同じ質問が突きつけられます。

果ては3ヶ月で結果を出せという人もいますが、これは、いかにナンセンスな事かをGoogleは気づいているのです。

2. 1 つのことを極めて本当にうまくやるのが一番。

いろんな事に手を出し始めると、失敗するという事です。最も頭のいい集団であるはずのGoogleですが、やっている事は、検索のみです。選択と集中の戦略論は、見事に当てはまるというわけです。

3. 遅いより速い方がいい。

当たり前といわれるかもしれません。ユーザーの求める速さは、年々増しています。そのスピードをラットイヤーなどという言い方をしたりもしますが、そのラットイヤーを牽引しているのは、Googleなのかもしれません。

4. ウェブでも民主主義は機能する。

この根拠になっているのは、GoogleのPageRank™ です。リンクを一票としてとらえ、その票数が多いサイトが上位表示される仕組みです。実は、ウェブ上での民主主義はこれだけではありません。最もなじみがあるとすれば、「クチコミ」でしょう。まさにこれは、民主主義そのものといっても過言ではありません。そして、ウェブ上のすべてが、そうした枠組みの中で機能しているのです。

5. 情報を探したくなるのは机に座っているときだけではない。

実は、最も情報を探したくなる時は、外に出ている時です。常にインターネットと関わりを持っている人であればなおさらです。自分の記憶領域を外部に持っているような人は、いつでもどこでも、その領域にアクセスしたくなります。それが、そうした人たちにとってのステイタスであり、アイデンティティでもあるのです。

6. 悪事を働かなくても金儲けはできる。

いったい何を持って悪事というのかの説明は、このあとの文章を読むと見えてきます。結論から言うと、操作された広告は悪だと言っています。「検索結果の完全性が損なわれないことが Google の中心的価値観」と明記してありますので、意図的に見せる広告を悪事だというのがGoogleの認識のようです。20世紀は、広告の歴史とまで言われるほど、その存在と影響は大きいものでした。特に、マス広告は人々の行動にまで影響を及ぼすほど強力ですが、そのほとんどは、仕組まれたものばかりです。という事は、企業が人の行動をコントロールしている事にも繋がります。たぶん、この事を突き詰めていくと、Googleが提唱する新しい価値観に到達するわけですが、この辺りは、研究者の潔癖な態度がにじみ出ているようにも感じます。

7. 世の中の情報量は絶えず増え続けている。

Googleは世界中のありとあらゆるものを検索させるべく、日夜研究にいそしんでいるわけですが、MicorosoftのOffice関連で制作されたファイルを検索対象にしたとき、徹底的にこれらを調べたのでしょう。そして、同じようなものを自分たちでも作れるという事に気がつき、Googleドキュメント というサービスが生まれたのだと思います。Googleが現在提供しているサービスのすべては、検索するところからスタートしているのではないでしょうか。画像検索ができるようになった事によって、Picasaが生まれたわけです。

8. 情報のニーズはすべての国境を越える。

Googleが行っている翻訳について、最もメリットがあるのは、英語圏以外の言語圏です。英語圏の情報と、それ以外の言語圏とでは、情報量の絶対的な格差があります。その情報量の格差をなくす事は、世界中のニーズだと言う事です。特に日本人は、世界で最も英語の苦手な民族であるため、英語圏の情報を簡単に得られることだけでも相当のメリットを感じます。現に、そこに目を付けたブロッガーは、簡単にアルファブロッガーになれます。

9. スーツがなくても真剣に仕事はできる。

Googleの場合、毎日お客さん先に出向いて商談をするような会社ではなく、従業員のほとんどが、社内で作業を行っているわけです。外部との接触がなければ、従業員がどんな格好でもかまわないわけです。もし、今後Googleが外部見学者を常に受け入れるような体制になったとすれば、みんなスーツを着なければなりません。多分、渉外担当者や企業営業担当者は、みんなスーツを着ていると思います。ただ、その割合が少ないだけでしょう。

しかし、知的生産性を最大限まで上げられる手法は、Googleのスタイル以外には今のところ思いつきません。脳の研究については、アメリカは日本の10年先をいっているわけですが、知的生産性を上げる為に重要な事は、リラックスした職場環境なのです。その環境を提供できる会社だけが、従業員の知的生産性を最大限まで引き出す事が可能だという事です。そして、何より知的生産性を低下させる最大の要因は、ストレスです。過度のストレス環境下では、知的生産性は、著しく低下します。

10. すばらしい、では足りない。

これが、Googleのすべてを物語っていると思います。「戦わない戦略」こそが最強の戦略です。1番を目指すのではなく、1番はあくまでも出発点と言い切るあたりが、その辺にある会社とは違います。1番なのは、当たり前というところから発想をスタートしているのです。これは、従業員のモチベーションに対して強く影響します。なぜなら、Googleにいる人たちすべてが自分(の会社)が1番だとわかっているわけですから。

優秀な研究者にとってもまさに理想的な環境だと思いますが、それ以外の人にとっては、かなり高い要求を強いられる場所なのかも知れません。

従業員満足を重視する会社の特徴は、従業員に対してかなり厳しい要求を与えているところです。それはアメと鞭なのか、それともマルクスとミルの経営的ジレンマによるものなのかは、わかりませんが、そうした会社が伸びているのは事実です。