Web 2.0時代のウェブ解析:マーケティング – CNET Japan

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たまに早く帰ってきた時ぐらい、ブログをガシガシ書いてみるのもいいかもしれないと思い、本日3本目…です。

私のネタ帳CNET Japanに面白い記事が掲載されていたので、備忘録がてら転載します。。。

http://japan.cnet.com/marketing/omniture/story/0,3800081276,20361679,00.htm

 

 ブログ、SNS、RSS、動画配信…Web 2.0時代と呼ばれる昨今、新しい技術が続々とインターネットマーケティングの世界に登場している。

 我々コンサルタントが提唱している「効果的なウェブ解析の5ステップ」のうち、5つ目のステップに”Innovate(革新する)”がある。

071126_omniture1.jpg効果的なウェブ解析の5ステップ

 これは何かと言うと、インターネットマーケッターは、新しい技術の中から自社のビジネスに合ったものを積極的に取り入れることに挑戦することにより、収益拡大・コスト削減などビジネスに多大なインパクトをもたらすことができるというものだ。

 ただし、ここで勘違いしていただきたくないのが、インターネットマーケッターは新しい技術が出るたびに単純に飛びつけば良いというのではなく、コスト・収益性などそれに伴う”リスク”を最小限に抑える必要があるということだ。すなわち、新しい技術導入には、都度その効果測定が重要になってくるのである。

 そこで今回は、Web 2.0と呼ばれる技術の効果測定について、お話をしたいと思う。

Web2.0ツールの効果測定

 Web 2.0ツールともなると、ログサーバーに残るデータだけでは分析できないものも出てくる。そこで、ここでは「タグ型」と呼ばれるウェブサイトにJavascriptを埋め込んで測定するウェブ解析手法での測定を前提に下記2つの効果測定方法についてお話したいと思う。

  • ブログ
  • 動画配信

 まず、「ブログ」の効果測定を行う際には、そのブログが「ビジネスブログ(企業担当者やメディアの記者などが書くブログ)」なのか、「ユーザー参加型ブログ」なのかによって、ビジネスゴールが異なってくる。

 ビジネスブログの場合、SEOによる流入を増やす事が目的のひとつとなるが、誘導した訪問者がブログを読むだけに完結させることがゴールではない。ブログは訪問者のコンタクトポイントのひとつであり、この流入元がウェブサイトで設定したゴール、例えば資料請求や商品購入などにどれだけ貢献したかを測定する必要がある。

 それでは、効果指標によりどのようにブログの最適化を行うことができるのか。ひとつに、ブログの「トピック」や「タイトルのキーワード」別の最適化がある。これは、ブログの投稿した記事ごとにコンバージョンを測定し、コンバージョンの高かった投稿のトピックやタイトルに使われたキーワードを特定する。そして、これらの効果的なトピックやキーワードを戦略的にブログの投稿に取り入れていくことにより、ブログからの流入の質を高めていくという方法だ。

 一方、ユーザー参加型ブログの場合は、ユーザーブログへの広告掲載による広告収入が目的の場合やユーザーの商品/サービスレビューなどによる口コミ効果を目的としている場合が多いが、いずれもブログ更新頻度によるページビューの向上や、新規のブログ参加者向上、またお気に入りなどによる読者の増大などが、ビジネスゴールになってくる。これらのビジネスゴールに基づいたKPIを設定し、それらの指標を見ながらユーザーへの利用促進プロモーションなどを策定していくことが、ユーザー参加型ブログの最適化方法のひとつとなる。

 ブログ効果測定の代表的なKPI

  • PV
  • 訪問者数
  • 月間ユニークユーザー数
  • ブログ滞在時間
  • 1訪問あたりのPV
  • コンバージョン率

次に動画配信の効果測定についてみてみよう。動画配信を行うウェブサイトのビジネスゴールは大きく分けて2つに分類できる。ひとつは、無料でドラマなどのコンテンツを提供する代わりに、コンテンツの合間にテレビCMのような広告を挿入することによる、広告収益をゴールとしているもの。もうひとつは、訪問者に動画を見てもらうことにより、商品/サービス理解やブランド認知を促進させるものである。

 動画の効果測定で重要なのが、閲覧状況を把握することだ。例えば、長い動画配信の場合は、配信完了時を100%としたときに、配信状況を25%、50%、75%と小さなゴールを設定し、動画毎に配信完了率を測定する。それぞれ、25%、50%、75%、100%に達したときが、コンバージョンという訳だ。あるいは、単純に平均の閲覧時間を測定してもよい。

 それでは、これらの効果指標により、どのような最適化を行うことができるのか。広告収益モデルの場合は、訪問者の閲覧レベルを理解することにより、広告インプレッションが最大化できるよう、広告の露出頻度を最適化することができる。商品/サービス理解、ブランド認知の場合は、コンテンツを最後まで見てもらうことが重要なので、訪問者の興味が持続する時間内に、コンテンツの長さを調整する、という最適化を行うことができる。

 動画配信効果測定の代表的なKPI

  • 動画閲覧数
  • 動画の配信完了度(25%、50%、75%)
  • 動画完了率(完了数÷スタート数×100)
  • 1訪問者あたりの閲覧時間(秒、分)

動画配信の効果測定事例

 それでは、インターネットマーケティング担当者は、どのような局面で実際にビジネスの意思決定を行っているのか、オムニチュアの米国本社の事例をご紹介しよう。

 オムニチュアは企業向けのウェブ解析やオンラインビジネス最適化のツールを提供しているので、ウェブサイトの目的は質の高いリード(見込み客)を獲得することである。多くのBtoB企業が行うように、オムニチュアも動画配信やホワイトペーパーなど商品や業界トレンドの理解促進のためのオファー(*)をキャンペーン毎に提供していた。

 あるキャンペーンで、インターネットマーケティングの責任者のマイケルは、オファーの内容は同じでも、ホワイトペーパーのダウンロードとウェビナー(ウェブ+セミナーの造語)の形式の違いによる効果をA/Bテストで測定することにした。

071126_omniture2.jpgオファーのA/Bテスト

 結果、リードの獲得数は、ホワイトペーパーのダウンロードのほうがウェビナーよりも42%ほど多いという結果になった。ここで単純に考えると、ホワイトペーパーのダウンロードのほうがKPIが高いので、より効果的という判断を下しそうになるのだが、マイケルは他の重要なKPIの比較も怠らなかった。

 ウェブ上で完結するリード獲得というゴールだけではなく、最も重要なビジネスゴールである「契約を締結する」というゴールまでをKPIとして設定したのである。すると、ウェビナーのほうがホワイトペーパーのダウンロードよりも商談に至る確率が155%高く、契約率も80%高く、1契約あたりの金額が2倍も高いことが分かった。

 というわけで、この数ヶ月間でオムニチュアの米国サイトの戦略は、ホワイトペーパー形式のものから、ウェビナー形式のものに大きくシフトしたのである。

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 今回ご紹介したオムニチュア米国本社のマーケティング事例は、「クローズドループ」と呼ばれる、ウェブ解析のデータに外部データ(このケースではCRMデータ)を自動的に関連づけて分析を行うマーケティング手法で、第一回でご紹介したウェブ解析の成熟度で言うと、Step3にあたるものだ。このクローズドループのアドバンス手法に関しては、いつか機会があればご紹介したい手法のひとつである。

 *オファー:ダイレクトマーケティングにおいて、見込客の申し込みや購入を促進するために提供するもの。BtoCでは豪華賞品のあたるプレゼントキャンペーンや、送料無料キャンペーン、BtoBでは無料トライアルや業界レポートの提供などがある。

 

著者

大山 忍オムニチュア株式会社
ベストプラクティスコンサルタント

米国大学卒業。外資系企業を経て2000年にネット広告効果測定ツールを提供するベンチャーに創業メンバーとして参画。その後、バリューコマース株式会社と合併し、アフィリエイトシステムの開発企画やマーケティングマネージャーを務める。2007年1月よりオムニチュア株式会社に参加。日本初のベスト・プラクティス・コンサルタントとして米国でのノウハウを、日本のお客様のニーズに合わせ提供している。

著書:『オンライン・マーケティング&ネット広告 HANDBOOK』