1万2千年前の真実 ~文化人類学的視点~

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インターネットとはかなり便利なものだとつくづく考える。

1万2千年前の真実などという途方もないテーマについて書くときでも、容易に情報を得られるからだ。

実際、このテーマについて何か書こうと思ったのは、ネイティブアメリカンの話をふと思い出したからだった。

「ネイティブアメリカン 洪水」とGoolgeで検索してもらうと実に多くの記述が出される。ネイティブアメリカンといえど、
さまざまな部族があり様式も多少異なるが、この点についてはどの部族においても何らかの神話や伝説として語り継がれているようだ。

特に、ネイティブアメリカンのホピ族の間では、世界を洗い流す洪水から救われたという神話があり、
その中ではすでに4回世界は崩壊しているという。

はじめは、火(噴火)次に、氷(氷河)そして水(洪水)によって滅んでいて、今は第4の太陽の世界に生きているという。

そのほかにナヴァホ族の神話では、

第3の世界は黄色い世界。現在の我々の世界に近づいてきていた。
陸地には各方角に山があり、山の人々は「最初の男」と「最初の女」にトウモロコシの育て方や家の造り方を教えた。また、
水の怪物を怒らせないように警告した。
しかしコヨーテは警告を無視し、水の怪物の2人の子供を連れ去ってしまった。
突然海が盛り上がり陸地は洪水に見舞われた。人も動物も一番高い山の頂上に集まった。
人々は巨大な葦を山の頂上に植え、内側を登っていった。4日間上り続け、遂に第4の世界へ辿り着いた。

第4の世界は白い世界。
今までの世界よりも美しく多くの人々や動物で賑わっている。
「最初の男」と「最初の女」はさらにトウモロコシの育て方や様々なことを学んだ。
しかしコヨーテは水の怪物の子供を返していなかったので、再び盛り上がってきた海を見て最初の人々は恐れた。
再び葦を植えて登り始めたが、今回は最後まで登りきることが出来ず次の世界への穴も見つけられなかった。
黄色い鷹が穴を開けようと試みた。鷺と禿鷹も手を貸した。最終的にバッタが穴を開けることに成功した。
そして全員が穴まで登れるように蜘蛛が糸をたらした。

第5の世界は小さい島だった。蟻が第4の世界から土を運び、
人々は作物の種を運んだ。
再び水位が上がり始めた時、「最初の男」と「最初の女」は水の怪物を怒らせたコヨーテを探し出し2人の子供をボートに乗せた。

水位は下がり以後洪水で世界が破壊されることはなくなった。
・・・ナヴァホ族の神話 [2007.09.26]

このナヴァホ族の神話については、ホピ族とは違い第5の世界観にて神話が構成されていますが、「洪水」
は同じキーワードになっている。

1万2千年前にアラスカを通って、北米大陸に渡ってきたとされるネイティブアメリカンは、洪水があったことを語り継いでいる。

洪水と言えば、旧約聖書に出てくるノアの方舟は有名だ。
あえてここで語る必要もないほどだ。

実はこの洪水に関する話は、北米だけに限ったことではない。沖縄から東南アジアに広く分布する洪水説話」というものも存在する。日本においては、伊邪那岐(イザナキ)・伊邪那美(イザナミ)という二柱の兄妹神による国産みの説話がそれにあたる。

この「洪水説話」というものもは、世界の諸神話に共通して見られるテーマである。

聖書旧約聖書)『創世記』のノア (聖書)ノアの方舟インド神話ヒンズー教のプラーナのマツヤギリシア神話デウカリオン、および『ギルガメシュ叙事詩』のウトナピシュティムの物語は、よく知られた神話である。過去現在の世界の文化のうち大部分が、古い文明を壊滅させる「大洪水」物語を有している。

この「大洪水」に関する物語の起源について、何人かの地質学者は、遠い過去に実際に起きた河川の大氾濫が、
神話に影響を与えたのだと考えている。

しかし、その観点だと、これだけ共通した神話を世界中で語り継がれているのはなぜか?という部分疑問については答えたれない。
答えられるとすれば、ただ一つ、

世界中が大洪水に巻き込まれた

からだ。

しかも、最も古い神話は1万2千年より前には存在しない。なぜなら、古代文明と呼ばれるものの多くは、
1万2千年前に発生したと考えられている。

…思い出してほしい、1万2千年年前よりも前は氷河期だったことを。

しかも、それ以前の記録は一切残っていない。というよりは、すべて失ってしまったような感じなのだ。

それは、人類の歴史の中でネアンデルタール人が「ホモサピエンスの先祖ではない」ということが明らかになって以降、いったいどこからやってきたのか?
というところがほとんど振り出しなってしまっている。100歩譲ってクロマニョン人が祖先だとしても、約4万~1万年前に存在していたとされているため、約3万年の間をつなぐ糸口は見つかってすらいない。

逆に、ネアンデルタール人とホモサピエンスは一緒ではなくしかも、クロマニョン人とも違うのであれば、 突然変異したものなのか?

進化という概念自体がダーウィニズムなのだが、その思想が提唱されて以降これまでずっと反証を受け否定を受け続けている。これだけ世に知れ渡ったにもかかわらず、さまざまな批判がなされている。そもそも、ダーウィニズムがなければ環境問題すら起こらなかったという視点すらあるほどだ。

構造的に考えてみると、いくつかの矛盾点を指摘せざるを得ない不完全な理論であることは間違いないとは思うのだが、それでも、人類の歴史は語りつくせない。

ただ、1万2千年ごろからは人類の歴史は残っている。

参考文献一覧