Business Style

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最近、Web制作の業界において個人事業主から法人化するという動きが非常に多いと聞きます。ホームページの製作は、スキルさえあれば、明日からでも営業ができるため個人事業主の形態で業務を請け負っている人は非常に多くいましたし、今現在も増えています。

特に、新卒者の割合が多いという特徴などもこの業界特有の比率ではないでしょうか?スキルとセンスだけで仕事ができることを考えると、そうした傾向も生まれてくるのでしょう。

しかし、クライアント企業側は安ければいいというニーズから変容してきています。特に個人情報保護の意識が高くなってきている企業サイドでは、それまで外注していた個人に同じような責任を課すことをためらうはずです。「漏れてしまったら、それまで」その対応を考えなければならない。

そういう時代変化が、個人事業主では信用を得ることができない(仕事ができない)というところまで差し掛かっているわけです。

それまで個人事業主だった人たちが、こぞって法人化するには、もうひとつ大きな理由があります。

それは、新会社法の施行によって規制緩和が行われた点です。取締役の選任から最低資本金額の準備に始まり、各種の書類の準備から審査(この審査も意外と厳しい)などを含めると、会社を設立するには多大な労力と費用がかかりました。だから、起業家と言われるぐらいのモチベーションがなければ、設立は難しかったのです。

しかし、新会社法ではそうした基本的な枠組みも含め設立しやすいように改変が行われています。

変更点は大きく分けて6つ

  1. 会社名審査の規制緩和…厳しい審査が緩和され、同住所でなければ、同名の会社を設立できるようになりました。しかし、「同じ」または「類似」の商号によって生じる商標権などの問題は、自己責任で対応しなければなりません。
  2. 有限会社の廃止…新しく有限会社を作ることはできません。(既存の有限会社の継続は可能です)会社の種類が「株式会社」「合名会社」「合資会社」「合同会社」の4つになりました。
  3. 最低資本金の撤廃…資本金が1円でも会社設立が可能です。ただ、実際には、「設立費用」「支払うべき税金」「設立後の資金繰り」など、ある程度の元手は必要となります。
  4. 株式会社の期間設計の改正…取締役 は、それまで代表取締役を含め三人必要だった点が一人でもよくなり(ただし譲渡制限のある中小企業に限る)、 取締役会 は設置しなくともよくなりました。また、監査役 は適任がいなければ会計参与でも可能となり、役員任期は最長10年になりました。
  5. 資本金利用手続きの簡素化…資本金存在を証明する保管証明書の料金は、3万1500円以上。また登記完了まで資本金は使えませんでしたが、その保管証明が通帳のコピーでよくなり、すぐに資本金が使えるようになりました。
  6. 株券の不発行と自由な配当…株券は、原則発行の必要はありません。また、配当も株主総会の決議によりいつでも何度でも可能です。現金以外の現物配当も可能になりました。

これだけみると、旧会社法を知っている人であれば、会社を作らない手はないように見えます。ただ、個人事業主にとって、会社という枠組みから抜け出したいから個人になったという人も多いわけですが、個人事業主と会社の経営者とでは、責任と税制面でかなりの差が生まれてきます。

  • 信用力…前段でも述べましたが、会社と個人とでは信用力に絶対的な差があります。個人でお金を借りることは、できてもローンぐらいですが、法人の場合は、融資という形で銀行からお金を借りられます。また、法人を設立することで得られる最大のメリットは、助成金や補助金です。特に、助成金は法人でなければ申請することができないものがほとんどです。助成金とは、その名の通り国や都道府県が助成してくれるお金(そのままそっくりいただけるお金)のことです。独立したてのことろは、運転資金もままならない状態になる可能性もありますが、こうした資金的な優遇措置は是非とも活用したいところです。
  • 責任の範囲…個人事業主であることの最大のリスクは、万が一事業に失敗したときに背負う負債です。有限会社はなぜ有限会社というかというと、責任が無限責任であるため有限会社と言われていました。何のことやらさっぱりわからなくなってしまいそうですが、責任が無限に有るので有限会社というわけです。どこまで行っても責任は、その会社の代表にあるというわけなので、個人事業主とあまり変わらないのでは?などと思ってしまいますが、旧会社法では株式会社より設立しやすく、株式会社と同様の措置を得られる代わりに、責任はちゃんと取れよ!というのが有限会社でした。それが、株式会社に一本化されたため、責任が有限になったわけです。責任が有限というのは出資金額の範囲内でしか責任をとる必要がないというわけです。株式会社は、出資をした証明として株式を発行し、出資金額は運用資金として利用されます。
  • 個人事業主よりも税制面で有利…個人事業主は、売上を上げて、経費を使って余った分が給与になります。でも、余った分にはしっかりと所得税という税金がかかってきます。そして、年に一回その申告をして所得分の税金を支払わなければならないわけです。でも、株式会社の社長は会社から給料が出ます。株式会社では社長を含めて社員の給与も経費扱いです。なので、会社が赤字でも簡単に潰れることはありませんし、会社は赤字だけど、社長はゴルフに行っちゃった…なんてことも十分可能なのです。かなり極端な例ですが、これが一番わかりやすい説明だと思います。自由かと思って独立したら、売上が上がらなければ生活は大変だし、かといって仕事詰めにしたところで、税金で払う分があるので手元にあまり残らない…なんて考えると、法人化したほうが絶対に得ですよね。

と、いろいろ考えると会社を作ったほうがいいと思ってしまいますが、どうしたらよいのか?

まずは、専門家に聞いてみることが一番だと思います。