PR会社の時代―メディア活用のプロフェッショナル

NO IMAGE

株式会社プラップジャパン代表取締役社長 矢島 尚 氏が書かれた本を、最近読んでみました。
守秘義務もあるとは思いますが、細かい事例紹介を加えた本書は、PRとはどういったものなのか?という基本的概念を理解する上では十分参考になると思います。株式会社プラップジャパンは、矢島氏が1970年に組織したPR会社ですが、設立当初はPRという認識のほとんどは誤解を伴っており、クライアントにもメディアにも鼻で笑われるような苦労をなさっていたということです。
しかし、近年、企業の不祥事がマスコミに取りざたされることが多くなり、企業のトップもメディアトレーニングの必要性が以前にもまして、必要になってきたと本書で語っています。また、こうした専門性の高い業務を自社で賄おうとすると、多大なコストがかかるばかりか意図した結果を得られない場合もあるようです。
特に、危機管理という側面は、「わかっちゃいるけど、なかなかできない」というのが経営者の本音でしょうし、仮にそうした事態に陥った場合の対応策などは、その場その場の対応で二転三転してしまうことも十分あり得ますし、実際にそうした現象は起こっています。
PR会社には専門会社と総合会社の2つのパターンがあるようで、プラップジャパンは後者です。また、独立系のPR会社では利益率が国内でTOPクラスという実績もあります。現在、日本のPR会社は電通PR、共同PR、プラップジャパンがビッグスリーと呼ばれ、実績、売上ともに上位3位を占めています。ただ、電通PRも共同PRも代理店経由での業務が大半を占めているため、利益率はあまり高くないということでした。
また、PRの本場アメリカの事例も多数記載されており、日本のPRへの認識の低さというものが、見えてきます。また、アメリカでは政治局面には大抵PR会社が関与しているという部分にも触れていました。
ただ、この本を読むと広告的アプローチよりも効果的で、場合によってはコストが抑えられるという提案ができるかもしれません。ただ、本格的なPRを行おうとすると結構な金額になることも本書の最後のほうに書かれていました。とはいっても、何億という広告予算をもっている企業であれば、そのうちの10%以上はPRへかけるべきだということと、そうした取り組みをすることで消費者との一方的なコミュニケーションに終わらず、永続的にコミュニケーションが図れるとすれば、決して高い金額ではないかもしれません。
PR会社の時代―メディア活用のプロフェッショナル