マルコ式マーケティング基本講座

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マーケティングにはフレーム(概念)があってそのフレームに沿った形で分析を行います。その手法をフレームワークといいます。ただし、基本となるフレームワークがあって初めて亜流が成り立つわけで、いきなりマルコ式にはいけません。
ということで、まずは基本となるマーケティングフレームのおさらいです。

マーケティングという概念は1961年ごろのアメリカですでに学者によって提唱されていました。よく聴く言葉なので、もっと古いかと思っていたら、そんなに古くは無いんです。

ジェローム・マッカシーなるマーケティング学者が4つの分野に集約したものが、基本となるフレームです。
その4つとは、

  • Product  プロダクト:製品
  • Price   プライス:価格
  • Place   プレイス:流通
  • Promotion プロモーション:販売促進

いわゆる4Pというものです。これがマーケティングの基本とも言うべき概念です。
そもそも60年代アメリカというのは、もっとも力のある時代でもありました(アメリカが世界経済を牽引する時代としてバックスアメリカーナとも言われた)し、好景気でもありました。こうした経済状況の中において、人はもっと売りたいと考えるようになります。

この時代においては、顧客にとってよいものを適正な価格で販売することがマーケティングのすべてでもあったわけです。もちろん、作っただけでは物は売れませんから、新商品ができたことを伝えなければなりません。よってプロモーション(販売促進)が必要となってくるわけです。
この時代はこの4Pだけで、マーケティングは十分だったわけです。

  • いいものを作っているか?
  • その価格は適正か?安いか?
  • 顧客の手元に適切に届けられるか?
  • 顧客はその商品を知っているか?

この条件を満たせば、儲かりました。

しかし、70年代に入るとインフレがおこり、輸出品の国際競争力が低下した結果、71年に初めて赤字に転落し70年代後半までにその比率は徐々に増して生きました。
作れば売れるという時代は、終わりを告げたわけです。

そこで、もう少し何かしないと儲からないぞ!と思うようになり、プラス3Pが考えられました。

  • People       ピープル:人
  • Process      プロセス:過程
  • Physical Evidence フィジカルエビデンス:物的証拠

実は、70年代は日本との貿易摩擦の時代でもあります。トヨタや日産、ホンダといった日本の自動車メーカーのみならず、ソニーやパナソニックといった家電までもアメリカへと流出し、アメリカ人から仕事を奪っていきました。というのも、国際競争力の低下の原因は生産性の向上を上回る賃金上昇がアメリカで 起こったためであり、生産性が高く賃金の安い日本の製品は質と量ととで、アメリカを侵略していったのです。
そうした背景からアメリカの経済学者や経営学者の間では、徹底したに日本研究が行われました。

そして、行き着いた先が、トヨタ式なのです。
特にプロセスにおいては、トヨタの生産方式がもっとも理想的とされ、その後さまざまな分野で応用されるモデルとなりました。

徹底したコスト削減と生産効率の向上。また、そこで働く人の高いモチベーションと環境。

この4Pとあとの3Pをあわせて7Pという言い方もします。
もっとも、7Pという概念はフィリップコトラー(マーケティングの大家)によって提唱された概念です。

時代とともに人の求めるものは、変容していきます。

70年代~80年代にかけて、アメリカは深刻なスタグフレーション(インフレ(物価水準の上昇)と景気後退が同時に発生した場合のこと)にあえいでいました。83年に、(現実のアメリカ経済が必ずしもすべて当 初の政策意図に沿った形で展開したとはいえないにせよ)レーガン レーガンの経済政策によって、インフレ なき力強い景気回復に成功しました。しかし、その代償として大幅な財 政赤字と経常収支赤字という「双子の赤字」を抱えることになりました。

こうした経済状況の中で、マーケティングの分野もモノから人へと移り変わっていったのです。
物価水準が上がったことと、モノがある程度いきわたったこともあり大量生産・大量消費という経済方式から抜け出さなければならなくなったのです。
そこで考えられたのが、4Cでした。

  • Customer Value      バリュー:顧客の価値
  • Customer Cost       コスト:顧客のコスト
  • Customer Convenience   コンビニエンス:顧客の利便
  • Customer Communication  コミュニケーション:顧客とのコミュニケーション

もしくは、

  • customoer needs andwants(顧客のニーズとウォンツ)
  • cost to the costomer(顧客にかかる費用)
  • convenience(利便性)
  • communication(コミュニケーション)

CはすべてCustomer(顧客)の頭文字です。
顧客に注意を向けることによって、ブランディングというものが急速に発展し始めたのです。

顧客との関係性という部分では、現在のCRM(Customer Relationship Management)に通ずるところがありますが、もともとは、この4Cから派生したものだと考えられます。
なぜなら、顧客重視ということはかなり顧客の情報を得ていなければ、満足できる商品やサービスを提供することはできません。顧客との関係性が保てれば、永続的に顧客と接点を持っていけるということにもなります。

実は、京都の老舗や大手デパートなどではこうしたことが当たり前に行われていました。ただ、誰にも言わなかっただけです。それは、優良顧客を守ることにもつながりますし、他のお客様と差別化している事を悟られないためでもあります。

また、コミュニケーションというとことでは、マス=コミュニケーションという手法が多く取り入れられました。ご存知のとおり、マス=コミュニケーションはテレビに代表される媒体を利用した顧客との関係性作りのことで、テレビ、新聞、雑誌などを総じてマス=コミなどとも言ったりします。

マス=コミュニケーションの最大のメリットは、その名のとおりマス(大多数の)カスタマー(顧客)とのコミュニケーション(関係作り)が可能ということです。
ほとんどの人は、テレビCMでよく見かける会社や製品を疑うことは無いと思います。最近は、不祥事などがニュースで放映されることもあり、あまり信用していない人もいるかもしれませんが、それでも大企業というイメージには、絶対の信頼を持っているはずです。

この4Cを実現するにはこうしたマスコミが一番効果的なのです。

しかし、それもメディアが多様化する以前の話です。
それまでは、テレビといえば一家に1台あって、誰もがテレビを見ていました。小学生の学校の話題もOLの職場での話題も、奥様方の井戸端での話題もテレビ一色だった時代もあります。

こうした状況では絶大な効果を誇っていたテレビも、インターネットの時代へと移っていくことによってどんどんその効果が薄らいでしまっています。
また、価値観が多様化したこともあり、ちょっと人とは違ったことを望む人たちも増えてきました。

そうした多様化した顧客に向けて、プロモーションをすること事態難しくなってきてしまったため、STPというまた新しい概念が生まれました。

  • Segmentation セグメンテーション:細分化
  • Targeting   ターゲティング:標的化
  • Positioning  ポジショニング:位置付け

ターゲットマーケティングなどとも呼ばれますが、顧客をさまざまな視点で切り分けて、狙いを絞って位置づけを行うという結構手の込んだ作業になります。
切り分ける基準は、たとえば、性別であったり年代であったり、収益であったり、地域であったりと、さまざまです。その切り分けた部分部分に狙いを絞るわけです。

  • 山形在住
  • 20代~30代
  • 独身
  • 女性

こうして的を絞ったところに製品やサービス、もしくは自社などを当てはめていくわけです。
本来ならば、表を使ってあらわすとかなり見やすいのでしょうが、面倒なので割愛します。もっと知りたい人は、ポジショニングでググッて見てください。

以上が、マーケティングの基本中の基本です。
コトラーという名前がチラッと出てきましたが、コトラーを語らずして、マーケティングは語れず。と言われるため、ちょっと含んでみました。

じゃ、これをどうやって使うの?
かというと、普通の生活でも使ってみてください。
普段よく見るポスターやチラシ、テレビCMなどはかなり参考になります。
誰に向けて作られたものなのか?何を伝えようとしているのか?どこに向けられているのか?どのように伝えようとしているのか?いつなのか?というようないわゆる5W1H方式で考えると、わかりやすいです。そして読み取った中身をすべての項目に当てはめると何かが見えてくるはずです。

それが何なのかは、自分で考えてみてください。