レクサスから学ぶマーケティング手法

レクサスから学ぶマーケティング手法

アメリカの裕福層で火がつき、逆輸入という形で日本でも昨年8月よりスピーディーな販売展開を見せているトヨタのレクサス。トヨタ自動車が純利益1兆円を突破した背景には、ブランド力や生産システムなどさまざまな要因があげられていますが、レクサスの販売方法もその要因のひとつだといえます。

レクサスは、それまでのトヨタ=大衆車というイメージを払拭させるためになるべくトヨタのロゴは使用しないと言います。また、ディーラー店は、外観・内装のデザインがシックに統一された一流ホテル並みの“おもてなし”が展開されています。

ひと昔前の自動車販売といえば、セールスマンが自宅を何度も訪問してようやく契約にまでこぎ着けることが常套手段になっていましたが、近年では高級車を売るディーラーほどそれをやらなくなりました。大きな理由としては、「お客様がそんな営業手法を望んでいないから」という明確なものがあります。また、個人情報保護法や治安の悪化などによって訪問自体が難しくなってきているのだと言います。しかも、消費者はインターネットを使った情報収集によって賢くなり、セールスマンの巧みな売り文句にはだまされなくなってきました。

実は、これと似たような事情は住宅メーカーも抱えています。

その代わり、自分がこれだ!と思った商品やサービスについては、どんな手段(主にインターネットですが)を使っても情報収集をし何とか手に入れようと具体的なアクションを起します。こうした行動が現代の消費者によく見られます。

そこで、販売店は販売者は「買ってください」と強引なセールスをするのではなく、顧客の側から「売ってください」と言わせるような仕掛けを作らなくてはならないのです。
勘のいい経営者は、すでに気づいて実行していますが、まだまだ昔ながらの営業手法に頼った会社も少なくありません。
営業マンも経営者も昔と今では、消費者の心理もマーケットの環境も大きく変化していることに気付く必要があります。

飛び込み営業も100件入れば2件ほどは成約できると言いますが、都市部ではもはや成り立たなくなっています。まだ、地方であれば話を聞いてくれる人もいますが、それでも2%ほどの成約率であれば効率はあまりよくありません。

そこで最近では、電話セールスに営業手法を切り替える会社も増えていますが、その反応も決して芳しいものではありません。「100件に電話して1件の見込客が掴めればOK」という乱雑なセールスが多いですが、これでは99%の電話先に対して不快な印象を与えてしまうことは、明白です。それはやがて企業のブランド価値を落とすことへと向かっていくのです。

また、プライバシー保護のルールが厳しくなっていく中では、「本人の同意なくセールス活動を行うこと」自体が違法と解釈される懸念もあります。そのため、企業が見込客との関係を構築するにあたっては、消費者からの問い合わせや来店を待つことが、今後の基本的なスタイルとなっていくだろうという予測まで出ています。

しかし、そうは言っても、“待ち”の姿勢をずっと続けているだけでは企業の業績は伸びていきません。そこで自発的にアクションを起す消費者を集客するための“仕組み”を構築することが重要課題になるわけです。

そのためのポイントは、「その商品を売ってください」もしくは「貴社の商品に興味があります」と自ら意思表示をしてくる消費者を集客することです。

「広告→集客→ショールームでの顧客対応→アフターフォロー→契約」という流れをシステマチックに作ることにより、人材による誤差の少ない“売るための仕組み”を構築していくことは可能なのです。

しかし、商談スペースがない場合や事務所が小さいのでお客様を呼んでお話することもできないという状況では、なんともなりません。そこでもうひとつのポイントが、「Webサイト」による集客です。すでに、消費者が自分の興味ある商品やサービスの情報をインターネットから得ているのですから、逆にここでアピールもできるわけです。また、Webサイトを通じてお問い合わせをしてきた顧客に対しては、メールでの継続的なコミュニケーションが図れることと、時間を束縛しないと言う点で双方に対して非常にメリットのある営業スタイルになります。

実は、レクサスのホームページにはオーナー専用の窓口があり、その中で愛車の整備履歴や保険情報などが蓄積されていく他、担当セールスマンとWebメールを通してコミュニケーションができる仕組みになっていると言います。

実際、問い合わせはホームページを作っただけでも何件かはきます。
ここで、もう一工夫することによって問い合わせ件数を伸ばすことも可能なのです。